建設業は、いわゆる大手ゼネコンと呼ばれる総合建設業から、個人事業で営まれる工務店まで、規模や業態は多種多様です。建設業法は、一式工事2種類と、専門工事27種類の合計29種類に分類されており、業種ごとに、国土交通大臣または府県知事から営業許可を受ける必要があります。
業界全体の景気では、東京オリンピック関連の投資が堅調で、需要が高止まりしている一方、その後の先行きが不透明であることや、就業者の高齢化や人手不足が懸念材料として指摘されています。
建設業には、一般に、次のような特徴とその特徴と関連する法的リスクがあると言えます。
就業者の高齢化と人手不足は、大きな課題です。統計によると2015年時点で約3割が55歳以上、29歳以下は約1割であり、全産業平均と比較して、高齢化の進行は顕著です。若年層の人手不足を背景として、長時間労働となることがあり、労務時間管理を適正に行っていない事業所が多いと言われています。
総務・人事部門に人員を割く余裕がないことも多く、法改正へのキャッチアップが後回しになっていたり、トラブル発生時に迅速に対応できない例があります。
そのような点からは、残業代請求や労働条件の交渉など、労働トラブルが起こりやすい背景があります。
高所作業が多いことや、重機を利用すること等から、事故発生の可能性はありえます。事故発生時は、労災や民事賠償の問題に発展することがあります。労災事故の場合、安全配慮義務違反を理由に、労災保険の上乗せ補償を請求されるリスクがあります。
建設工事は、専門化・分業化された各種工事の組み合わせによって実施されます。元請から、工種ごとに、順次、下請に出されるというように、重層的な下請構造が一体となって、一つの建設工事を行います。
この重層的下請には分業のメリットがあるのですが、法的なリスクの観点からすれば、責任の所在が不明確になるというリスクがあります。
例えば、一つの工区の特定の工事に遅れが発生し、波及的に工事全体に影響が出た場合、どの範囲でどの会社が責任を負うのかについて、トラブルとなる可能性があります。きちんとした契約書がない場合は、会社間の力関係で決着するようなことを余儀なくされる例もあるようです。
最近、特にネットを介して情報が得やすくなったことも影響しているのか、法律のルールを持ち出して、直接、経営者と交渉してくる従業員さんは増えていると感じます。建設業では、労働条件についての従業員の苦情・クレームについて、十分な対応が出来ていない例が見受けられます。
労働時間の管理など勤務条件を明確にし、法的な基準をベースとしたクリアな労働条件となれば、人材の定着は進むと考えられます。その意味では、適正な労務管理は、ひいては、人手不足対策にもなると思われます。
具体的には、労務管理体制の整備、就業規則の整備、従業員への周知徹底などについて、顧問弁護士がお手伝いいたします。
細かい条件を詰めずに工事を行うという慣行がありますが、もし、トラブルが発生した場合、「工事請負契約書」の記載の仕方が、責任の所在を決定する力があります。大切な取引様だからこそ、契約交渉を、きちんとすることをお勧めします。
まずは、一定の金額以上の案件や、初回のお取引の案件など対象を限って、「工事請負契約書」の契約書チェックを導入されてはいかがでしょうか。弁護士が、条文のチェックに加え、交渉方法をご提案し、交渉をバックアップいたします。ご希望によっては、弁護士が代理人となって、交渉をお引受けすることも可能です。
請負代金の円滑な回収は、大きな課題です。請負代金の入金が予定どおり行われないと、直ちに仕入代金の支払や人件費支払いに重大な影響が生じかねない事態となります。
相手方が法的理由もないのにクレームを付けて代金支払が遅延している場合、弁護士名で請求書を送付することによって解決する例もあります。
また、相手方の資金状態が悪化している場合は、至急、法的手続きの準備をする必要があります。大切な代金の回収のために、弁護士のアドバイスをご活用ください。
労災事故はいつ発生するか予測できませんし、発生時は、被災した従業員へのフォローなどの初動が大切です。また、前触れもなく、残業代の請求が起こることや、取引先からのクレームが発生することがあります。
さらに、建設業で多いのが、騒音クレームへの対応です。騒音規制法や条例の要件を満たしていても、周辺の商工業者や住民からの苦情はありえます。日頃、企業様にて適切な対応をされていても、なかには、専門家を介して適正な対応をするほうが望ましい事案はありえます。
弁護士が、対応方法のアドバイスや、交渉をバックアップいたします。状況に応じ、弁護士が交渉窓口となることも可能です。
事業を次世代へバトンタッチするための準備も、弁護士がサポートいたします。
親族に事業を承継する場合には、自社株式の生前贈与・遺言での譲渡(個人事業の場合、事業用財産の生前贈与など)など選択肢となります。
これに対し、親族外に承継する場合(従業員や同業者)には、株式譲渡や事業譲渡などを検討することになり、御社の状況に最も相応しいスキームをご一緒に検討させていただきます。
また、選択肢としては、合併や買収などのM&Aも候補に挙げ、御社の将来を見据えたプランを協議させていただきます。
当事務所では、取引交渉の支援(契約交渉バックアップ、契約書のレビュー)や、労務管理のコンプライアンスに注力し、事業展開の支援、トラブル予防の業務に当たって参りました。また、労災や残業代請求の主張に対し、経営者側の立場から、迅速な紛争解決にあたって参りました。
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その1階に弁護士法人ナラハ奈良法律事務所があります。
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