遺産分割前に預貯金が引き出された!?(会社と相続ニュース No.33 2024年11月号)
- 2024年10月30日
- 会社と相続ニュースバックナンバー
遺産分割前に預貯金が引き出された!?
1 はじめに
最近、私ども(弁)ナラハでは、相続に関するご相談が増えています。今回は、その中から、皆様から特にご質問の多い、遺産分割前の預貯金の払戻について、ご説明します。
2 遺産分割前の不正な出金?
皆様が不信感を露わにしてご相談されることが多い、遺産分割前の預貯金の払戻。これはさらに、①亡くなられた方(被相続人)の生前の払戻と、②被相続人の死後の払戻の二つに分けて考えることができます。
前者については、身近で世話をしていた親族が出金し取得したに違いない、後者については、被相続人が亡くなっているのに遺産分割の話し合いをすることもなく勝手に引き出されたと、ご相談者の方は不信感でいっぱいです。
3 遺産分割調停・審判における遺産の範囲
遺産分割協議がまとまらなかったときには、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、まずは調停手続きの中で話し合いを進めることになります。
家庭裁判所の遺産分割調停・審判で扱う対象は、被相続人が所有していたプラス財産、かつ、相続開始時に存在していたプラス財産、かつ、現在も存在しているプラス財産です。
また、遺産分割調停・審判では、必ず扱う「遺産」(土地・建物、株式、借地権、現金、国債、預貯金、投資信託など)と、相続人の全員の合意があれば扱われる「遺産」(貸金・立替金、賃料債権、不当利得・不法行為債権、生前払い戻された預貯金、死後払い戻された預貯金(民法906条の2第2項の処分をした相続人が確定していれば、その相続人以外の相続人全員の合意で足ります。))があります。
また、葬儀費用や相続債務は、相続人全員の合意があれば遺産分割調停に限って取り扱うことができますが、審判では一切扱うことができません。
4 生前の預貯金の払戻
特に問題となりやすい、生前の預貯金の払戻は、払戻を受けた者が、払い戻した預貯金を自己の取得分として自認すれば遺産分割調停・審判の対象となります。
もっとも、実際には、払戻を受けた当事者が自認することは必ずしも多くはありません。
生前の預貯金の払戻については、払戻とその使途に疑問が残る当事者が解決を望むのであれば、別途、民事訴訟を提起する必要があります。
5 死後の預貯金の払戻
死後の預貯金の払戻については、本来、死亡後速やかに金融機関に被相続人の死亡を届け出ることとされており、届出がなされた後は、原則として、相続手続によるのでなければ払戻できません。
相続人の一人が、死後に預貯金を払い戻していたような場合には、払戻をした当事者以外の当事者全員が、遺産分割の対象とすることに合意すれば、遺産分割調停・審判の対象となります。
6 まとめ
身近な親族が亡くなれば、精神的に辛い思いをされることでしょう。その上、遺産分割でもめることになれば、さらに精神的な苦痛は増すことになります。そうならないためにも、相続で疑問に思われることがあれば、お早目に弁護士にご相談されることをお勧めします。
【ナラハQ&Aコーナー】相続人申告登記とは何ですか?
Q
相続登記ではなく、相続人申告登記という制度ができたと聞きました。この相続人申告登記とは、どのような制度でしょうか。
A
相続人申告登記は、相続登記の申請が義務化されたことに伴い、導入された制度です。相続により不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務となりました(2024年4月1日施行)。しかし、事情により、相続登記をすることが困難な場合があります。そこで、「相続人が登記名義人の法定相続人である」と申告するだけでよい登記制度ができたのです。
詳しくは、弁護士にご相談ください。
~おすすめのジェットコースター~
皆さま、「サンダードルフィン」「白鯨(はくげい)」をご存知でしょうか。
東京ドームのすぐ横にそびえ立つジェットコースターが「サンダードルフィン」です。前置き無しの、即座の急上昇、急降下が特徴です。また、壁や観覧車の間を通り抜けて走行するというスリル感も味わえます。
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どちらも、絶叫マシーン好きの私の中で、かなり上位にランクインしているコースターですが、上記以外の共通点もあって、私は、これらのジェットコースターが大好きなのです。その共通点とは、「イルカ」「クジラ」を感じることができるという点です。「サンダードルフィン」は終盤に、「白鯨」は序盤に、うねうねと走る時間帯があり、ここが意外な推しポイントとなっています。
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