Q&A 同族会社の後継指名


Q 当社の創業者で代表取締役社長が急に亡くなりました。その後,取締役会で,新しい代表取締役を選定し,新体制で動き出していました。
ところが,先日,先代社長の長男(取締役ではありません)から連絡があり,先代社長の自筆の遺言書を提示され,その中に,次期社長として長男を指名するという記載がありました。
社長の指名については,遺言書の記載に法的拘束力がないことは分かっています。
懸念しているのは,その長男は,今回相続するものを含め,当社株式の3分の1を所有していることです。今後,どのような動きが予想されますか。

A まず,おっしゃるとおり,後継指名の遺言には法的効力がありません。代表取締役の選定は,会社法の規定にしたがって行われます。
もし,その長男さんが経営に関心があり,社長就任を希望するのであれば,まず,「取締役」に就任することを目指すことになります。他の株主の持株と合わせて,株式の「過半数以上」の賛成を得られるように,動くことが予測されます。次の定時株主総会を待つか,または,臨時株主総会の招集を要望する(懇意の取締役に働きかける,株主権の行使としての株主総会招集請求をする等)ことがありえます。
そして,取締役に就任した後,取締役会において,自分が代表取締役の選定を受けるように動くという流れが予測されます。
法的な分析も大切ですが,大株主である長男さんの意向を把握することも大切です。先代社長のその遺言には法的拘束力はありませんが,その背景を踏まえて,より深い分析をし,根本的な対応策を検討されることをお勧めします。


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