新型コロナウイルス流行への対応②(取引先への対応)
例えば、中国からの仕入れが困難となったことが影響し、取引先への納品期限を守れなくなり、契約違反の状態になる、というケースが考えられます。このような場合、どのように対応すべきでしょうか。
まずは通常の取引上のトラブルと同様に、損害発生を抑えるため、取引先と協議し、打開策を探すことになります。契約条件を変更することや、継続的契約であればいったん合意解約することも考えられます。
そのような協議がまとまらず、取引先との間で法的トラブルになった場合は、契約書の解釈がテーマとなります。「契約書」の中の「不可抗力」や「損害賠償」の規定の解釈がテーマとなります。標準的な契約書には、「天災地変、その他の不可抗力」の場合は、「責任を負わない」と規定する例が多いと思われます。
日本法では、帰責事由がない場合、損害賠償責任を負わないとなっています(民法415条)(ただし、金銭債務を除く)。個別事案では、ケース・バイ・ケースの判断になりますが、責任を負わないとするためには、債務の性質や取引状況などを踏まえて、責任がないことを示す「客観的資料」を整える必要があると思われます。
(上記コラムは、2020年2月18日に作成したものです。)