運送業「オール歩合給」は可能か?(会社と相続ニュース No.20 2023年9月号)
- 2023年08月30日
- 会社と相続ニュースバックナンバー
運送業「オール歩合給」は可能か?
1 運送業2024問題
「運送業2024年問題」をご存じでしょうか。
これは、働き方改革関連法に伴い2024年4月から、ドライバーの時間外労働時間の上限が「年間960時間」に設定されることで生じると指摘されている様々な問題です。
中でも、ドライバー不足もあり、長時間労働の改善は道が険しいと言われています。
2 国際自動車事件最高裁判決の衝撃
そうした中、令和2年3月30日に出された「国際自動車事件最高裁判決」は、衝撃をもって受け止
められました。同判決によって、国際自動車の賃金制度の「割増賃金」の規定が否定されました。そ
のため、法的には「割増賃金」(残業代)が未払い状態となってしまったのです。
一審原告(労働者)によると、同原告ドライバー198人分の未払い残業代等として、会社側は総額
約4億円を支払うことで合意したとのことです。一人当たり約200万円です。賃金債権の消滅時効が2年から3年に延長された現在では、約300万円ということになるのでしょうか。会社の存続が危ぶまれる事態と言っても過言ではありません。
3 同社の割増賃金の問題
国際自動車の賃金(割増賃金)制度は、ごく簡略に言えば、次のような制度です。
基本的に固定給と歩合給があります。固定給は、勤務日ごとに支払われます。歩合給は売上をもとに
支払われます。それぞれに割増賃金が発生するのですが、問題がありました。固定給に対する割増賃
金が増えれば、歩合給に対する割増賃金が減り、いくら働いても割増賃金が増えないのです。
4 三和交通事件判決
労働者の権利は重要です。同じく会社の存続も重要です。高騰しかねない残業代、なんとかすることは出来ないのでしょうか。
ここで、三和交通事件の判決(札幌地裁平成23年7月25日判決、札幌高裁でも地裁判決維持)をご紹介したいと思います。
同社の賃金は、形の上では基本給、歩合給、割増賃金に分けられていました。しかし、実際
はオール歩合給による賃金を、基本給、歩合給、割増賃金に振り分けているだけだったのです。
同判決は、オール歩合給そのものは否定しませんでした。その上で割増賃金を「労基則19条1項6
号」に従って計算すべき、と判示しました。紙面の都合で詳細は割愛しますが、同号を用いると割増賃金の額はかなり低くなるのです。
5 オール歩合給は可能か?
考えてみれば、オール歩合給を否定する条文はありません。割増賃金が不要になる訳ではありませんが、割増賃金の額を低く抑えることができます。別の稿で、オール歩合給について、述べたいと思います。
【ナラハQ&Aコーナー】配偶者の借金
Q
夫には多額の借金があるようですが、詳しいことを教えてくれません。離婚した場合、私は夫の借金を支払わなくてすみますか。
A
もともと夫が借りた借金は夫が債務者ですので、妻には法律上、支払い義務はありません。
したがって、離婚しなくても夫の借金を妻が支払う必要はありません。もっとも、多額の借金のある夫と婚姻生活を継続するかどうかは別の問題です。ご心配なことがあれば、弁護士にご相談されることをお勧めします。
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昨年から、プールに通うようになりました。健康のためです。
いわゆるスポーツジムではなく、子どもたちが習い事で通うようなプールです。夜間コースには、実に様々な 方が来られています。プールは「ウォーキング」「初級」「25m」「50m」などとコース分けされており、各自自由に利用目的にしたがって、楽しんでいます。多いのは、ベテランの方です。年齢がベテランの方、泳ぎに年季が入っている方が大半かなと思います。他には、高校生? 大学生? という若者もいます。学校で泳いだ後にもうひと泳ぎ、ということでしょうか。有り余る体力に、圧倒されています。
さて、私は、35歳、バリバリの社会人です。周囲は、ベテランの方に、若い学生。お気づきかもしれませんが、私は、浮いています。「プールだけに」とは言いたくなかったのですが、言ってしまいました。。。浮いているついでに、泳ぎ方も他とは違う切り口です。ビート板を多用します。ビート板のほうが身体に負荷がかかる気がしており、健康増進(体重減少)に効果的だと信じています。呼吸に心配なし、絶対沈まないという安心感もあります。
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