LGBT理解増進法と性的マイノリティに関する企業の取組(会社と相続ニュース No.25 2024年2月号)

LGBT理解増進法と性的マイノリティに関する企業の取組

1 LGBT理解増進法とは?

 令和5年6月23日、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」が公布・施行されました。

 この法律は、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に寛容な社会の実現に資することを目的としています。

 同法の成立まで紆余曲折があり、与党と日本維新の会・国民民主党の修正協議を経て、「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意する」との条文が付加されました。これに対しては、差別する側に配慮しているとの批判の声があがったことは、皆様のご記憶にも新しいのではないでしょうか。

2 企業の義務と取組姿勢

 LGBT 理解増進法6条1項は、事業主の努力として、「事業主は、基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関するその雇用する労働者の理解の増進に関し、普及啓発、就業環境の整備、相談の機会の確保等を行うことにより性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する当該労働者の理解の増進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策に協力するよう努めるものとする。」と定めています。

 一般社団法人日本経済団体連合会の十倉雅和会長は、令和5年6月19日の定例記者会見で、「LGBT理解増進法の成立は、日本社会全体でLGBTQ +に関する理解を進める端緒となるものであり、一歩前進と評価する。経団連『企業行動憲章』は、人権や多様性を尊重する考え方のもと、マイノリティに配慮した就業環境・制度の整備といった取り組みの重要性をうたっている。国全体で取り組みを進めていきたい。」と述べ、性的マイノリティに配慮した取組の重要性を指摘しました。

3 企業の取組事例

 厚労相のHP では、実際に次のような取組事例が紹介されています。

 ①方針の策定・周知や推進体制づくり

 ②研修・周知啓発などによる理解の増進

 ③相談体制の整備(例えば、ダイバーシティ&インクルージョン推進室を相談窓口とする他、外部の相談窓口業務を当事者団体に委託。)

 ④採用・雇用管理における取組(例えば、採用ポリシーにおいて差別を行わないことを明記。また、エントリーシートに性別欄を設けない。)

 ⑤福利厚生における取組(例えば、婚姻同等の関係にある同性カップルや、異性間・同性間を問わず事実婚をした社員に対して、「結婚休暇」の付与、「結婚祝金」の贈呈、「出産祝金」の贈呈を認めている。)

 ⑥トランスジェンダ-の社員が働きやすい職場環境の整備(例えば、パンツスタイルの制服を導入、トイレは性自認に基づき希望するトイレを使用可、通称名の使用や健康診断の対応は個別対応。)

 ⑦職場における支援ネットワークづくり(例えば、「アライ」、即ち、性的マイノリティのことを理解し支援しようとする人、であることを表明できるシールの配布。)

4 最後に

 性的マイノリティの方々も含め、誰もが働きやすい職場環境づくりは、多様な人材の活躍、人権尊重、コンプライアンス対応の観点などから、とても大切です。

 皆様の会社における取組はいかがでしょうか?ぜひ、この機会に検証していただき、まだ取組をしていない、あるいは不十分だと思われた皆様は、新たな取組を始められることをお勧めします。

執筆:弁護士 田辺美紀

【ナラハQ&Aコーナー】妻が持ち出した財産は財産分与の対象になる?

Q 

妻が、私が婚姻後に貯めたお金を無断で持ち出し、家を出て行ってしまいました。また、妻は妻の給料の入った通帳も持って出て行っています。これから離婚の話し合いをしますが、妻が持ち出した財産は財産分与の対象になりますか。

 

A 

財産分与の対象は、共同生活中に夫婦で形成した財産です。
夫婦の一方が、別居に当たって財産を持ち出した場合には、財産分与で清算することが一般的です。
また、妻の給料の入った通帳については、妻側から、妻の固有の財産であるとの主張がされることもありますが、これも夫婦共同で形成した財産であるため、財産分与の対象となります。
詳しくは弁護士までご相談ください

回答:弁護士 林揚子
■ コラム ■

~ちゃんちゃんこ? はんてん? どてら?~

 寒さ対策には「ちゃんちゃんこ」です。「ちゃんちゃんこ」と言いましたが、時には「はんてん」、「どてら」とも呼んでいます。単なる言い換えかと思っていましたが、違うようです。ある説明によると、次のとおりです。

 「どてら」…湯上りに羽織る防寒着。広袖+丈長のゆったりとした作り。

 「はんてん」…江戸時代の庶民の防寒着。表地と裏地の袷(あわせ)である。袖丈は五分程度。作業着やユニフォームとして着用される。

 「ちゃんちゃんこ」…「綿入りはんてん」から袖をなくした形。60歳の還暦を祝う「赤いちゃんちゃんこ」のイメージが強い。主に子供用の防寒着。

 私は赤を着ています。「赤いちゃんちゃんこ」だと思っていました。しかし、袖があるので、「赤いどてら」のようです。我が家でもそうですが、こたつ離れが進んでいると言われる昨今、「どてら」で暖を取ることに、温度以上の温かさを感じています。どてらを着れば、暖房要らず。この冬、ぜひお試しください。

執筆:弁護士 市ノ木山朋矩

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