「人間中心」のAI社会へ(会社と相続ニュース No.31 2024年9月号)

「人間中心」のAI社会へ

1 AI事業者ガイドライン

 経済産業省と総務省は、近年のAI関連技術の急激な変化等に対応すべく、有識者等と議論を重ね、「AI事業者ガイドライン(第1.0 版)」を取りまとめました。

 近年台頭してきた対話型の生成AI(生成AIとは、文章、画像、プログラム等を生成できるAIモデルに基づくAIの総称を言います。)により、AIの様々な用途への活用が容易になりつつあります。企業では、ビジネスプロセスにAIを組み込むだけではなく、AIが創出する価値を踏まえてビジネスモデル自体を再構築することにも取り組み始めています。一方で、AI技術の利用範囲、利用者の拡大に伴い、様々なリスクも増大しています。特に生成AIに関しては、知的財産権の侵害、偽情報・誤情報の生成・発信等、これまでのAIではなかったような新たな法的、社会的リスクが生じています。

 そのような背景の中、ガイドラインは、AIの安全安心な活用が促進されるよう、我が国におけるAIガバナンス(AIの活用に関する、技術的、組織的、社会的システムの設計、運用)の統一的な指針を示しています。このガイドラインを参考の一つとしながら、実際のAI開発・提供・利用において、AI活用に取り組む全ての事業者が自主的に具体的な取組みを推進することが求められています。

2 「人間中心」の原則

(1)ガイドラインでは、人間がAIに過度に依存したり、人間の行動をコントロールすることにAIが利用される社会ではなく、人間がAIを道具として使いこなすことによって、人間の様々な能力をさらに発揮することを可能にし、物質的にも精神的にも豊かな生活を送ることができるような社会を構築することが掲げられています。

 したがって、各事業者は「人間中心」を共通の指針として、法の支配、人権、民主主義、多様性及び公平公正な社会を尊重するよう、AIシステム・サービスを開発・提供・利用すべきであるとされています。憲法、知的財産関連法令及び個人情報保護法をはじめとする関連法令、AIに係る個別分野の既存法令等を遵守することが重要であり、個人情報、知的財産権等にそれぞれ適用される法令に適合した取扱いを行うことなどにも留意が必要です。

(2)「人間中心」を推し進めるのに、各事業者は、AIシステム・サービスの開発・提供・利用において、少なくとも下記の各事項に取り組むことが重要であるとされています。

  1. 人間の尊厳及び個人の自律
  2. AIによる意思決定・感情の操作等への留意
  3. 偽情報等への対策
  4. 多様性・包摂性の確保
  5. 利用者支援
  6. 持続可能性の確保

3 AI活用事業者の今後

 法律の整備がAIの技術発展やその社会実装のスピード・複雑さに追いつけていないことは十分意識する必要があります。他方で、過度な対策を講じることは、同時に、AI活用自体又はAI活用によって得られる便益を大きく阻害してしまう可能性もあります。

 私どもナラハでも、AI契約書チェックを取り入れ始めましたが、人間の目、力はなお重要です。今後も進歩を続けるAI分野と上手に付き合っていく方策を、日々考え、実践していくことが求められます。

執筆:弁護士 市ノ木山朋矩

【ナラハQ&Aコーナー】退職金は財産分与されますか?

Q 

夫との離婚を考えています。夫は間もなく定年退職する予定なのですが、退職金を分けてもらうことはできますか。

 

A 

離婚に伴い、一方が相手方に対して財産の分与を請求する権利、いわゆる財産分与請求権が発生します。財産分与の対象となるのは、婚姻期間中に夫婦で協力して作った財産です。離婚時点で退職していなくとも、退職金を受け取ることが確実であれば、財産分与の対象として扱う場合もあります。

詳しくは、弁護士にご相談ください。

執筆:弁護士 林揚子
■ コラム ■

~自分を高めてくれる存在~

 自分を高めてくれる存在とのお付き合い、ありますか? 藤木はたくさんあります。学生時代から関係が続いている師もいます。何人もの師と出会えた人生に、奇跡と感謝を感じます。今日は、もっとも最近に出会えた師を紹介させてください。藤木は中学生の頃、初めて本物のオーケストラのコンサートを聴きました。大阪フィルハーモニー交響楽団です。生の音は素晴らしかった。中でも、ステレオでは聴いたことのない音が聴こえてくるのです。地を這うような重低音。目を凝らして音の出どころを探しました。コントラバスでした。一目ぼれしました。「大学に入ったら、この楽器をやる!」大学に入り、コントラバスをはじめて30年。ずっと、残念なことがありました。「プロのような本物の音を出せない」。どうしても、アマチュアの音しか出せないのです。アマでプロのような音を出せる人なんて滅多にいないし仕方ないかとあきらめていた先日、コントラバスの師と出会えました。それも、あのあこがれの大阪フィルハーモニー交響楽団のコントラバス奏者! 齢50歳にして中学生の頃の甘酸っぱい思いが胸いっぱいに拡がります。レッスンにつくようになって2年ほど。最近、プロのような本物の音を出せるようになってきたのです。オーケストラのメンバーにも「最近、音がかわったね」「いい音ですね」などと言われることが増えてきました。永年の夢がかない幸せです! 自分を高めてくれる存在との出会いに感謝!

執筆:弁護士 藤木秀行

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