外国人労働者の現状と課題(会社と相続ニュース No.43 2025年10月号)

外国人労働者の現状と課題

1 はじめに

 今年の6月に発表された2024年の出生数は初めて70万人を割り、出生率も過去最低となりました。

 また、2024年10月1日現在の総人口は1億2380万2000人で、14年連続減少しています。人口ピラミッドは、近年、二つのベビーブーム期が膨らんだ形となっています。(総務省統計局「人口推計」より)

 高齢者の増加とは反対に、若年層が減少し、皆様の会社でも雇用に苦労されているのではないでしょうか。今回は、日本で欠かせない存在となっている外国人労働者について、お伝えします。

2 外国人労働者の受け入れ制度

 日本で働く外国人労働者数は増加傾向で推移し、2023年10月末時点で、約205万人、全雇用者の約3.4%と、過去最高を更新しています。

 日本で就労している外国人労働者の国籍は、多い順から、ベトナム、中国、フィリピン、ネパール、ブラジルとなっています。

 1989年に「出入国管理及び難民認定法」(以下「入管法」といいます。)が改正され「人文知識・国際業務」や「定住者」といった在留資格が創設され、1993年には技能実習制度が開始されました。2012年には「高度人材ポイント制」の運用が開始され、2014年の入管法改正では「高度専門職」が導入され、また、在留資格「技術」と「人文知識・国際業務」の一本化など、外国人労働者の受け入れ体制の整備もなされました。

 2018年の入管法改正で、新たに「特定技能」の在留資格が創設されました。2024年6月には、技能実習制度に代えて、新たに「育成就労制度」を創設することを盛り込んだ、入管法及び「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」の改正法案が成立しました。

3 外国人労働者の賃金

 外国人労働者の賃金水準についてみてみると、単純な比較では28%程度の賃金格差があり、外国人労働者の方が日本人と比べ、低くなっています。もっとも、その4分の3は、事業所の業種や規模、本人の年齢や勤続年数、学歴など、属性の違いで説明することができます。一方で、4分の1の7%程度の賃金格差は、統計上可能な範囲でコントロールしても、説明することができません。

 説明できない賃金格差の背景は、外国人労働者の在留資格や職種により異なること等がわかっています。例えば、特定技能外国人について、職場を変更してもスキルが評価されなかったり、高技能外国人について、日本語能力や企業文化への適応等の面で相対的に低い賃金水準に置かれている場合がある、といった可能性が示唆されています。
(「令和6年度年次経済財政報告」より)

4 今後の課題

 最近、外国人労働者が、要件の緩い「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で受け入れとなり、トラブルに巻き込まれるケースが増加しているとの報道もなされています。

 政府は、本年8月、外国人政策の抜本的な見直しに向け、検討していくと発表しました。

 外国人労働者に対しては、単なる労働者ではなく、日本社会の構成員として、尊重することが求められています。日本人、外国人問わず、すべての人が、安心、安全に暮らせる共生社会が実現することを、心から願ってやみません。

執筆:弁護士 田辺美紀

【ナラハQ&Aコーナー】別居と婚姻費用

Q 

 夫のモラハラに耐え切れず、子を連れて別居することにしました。夫の承諾を得ずに別居しても、生活費(婚姻費用)を請求することはできるのでしょうか。

 

A 

 婚姻費用とは、夫婦と子どもの生活費などの、婚姻生活を維持するために必要な一切の費用を言います。

 そして、配偶者の承諾を得ずに別居したからといって、婚姻費用の支払を停止することが正当化されたり、支払義務を免除されたりするものではないとされています。

 そのため、夫に何も告げずに別居したとしても、婚姻費用を請求することは可能です。

 婚姻費用の金額は、双方の年収等によって異なります。詳細については、弁護士にご相談ください。

回答:弁護士 金丸有希
■ コラム ■

~奈良を盛り上げたい!~

 なら燈花会に今年もボランティアとして参加してきました! なら燈花会とは、毎年8月に奈良公園一帯で開催される古都奈良の夜を灯りで彩るイベントです。奈良を代表する歴史的な建造物や自然に囲まれた広大な敷地に、たくさんのろうそくが灯されます。

 なら燈花会のろうそくですが、毎日並べて、毎日火を消して回収していることをご存知でしょうか。今年の猛暑も相俟って、なかなか大変な作業でした。

 しかし、夜になると、疲れを吹き飛ばすような、幻想的な光景が目の前に広がります。風に揺らめく小さな炎の一つひとつが、来場者だけでなく、ボランティア側の心も癒してくれたように思います。

 さて、夏も過ぎようとしているなか、このような奈良を盛り上げようというイベントをもう一つご紹介させていただきます。今年の11月8日(土)、9日(日)に、平城宮跡歴史公園(朱雀門ひろば)にて、「なら奈良まつり」が開催されます。老若男女、カップルや友人同士、ご家族など、どなたにも楽しんでいただけるおまつりに、わたくし、実行委員長として携わっております。この頃には多少涼しくもなっているかと思いますので、お時間のある方は、是非お越しいただければと思います!

執筆:弁護士 市ノ木山朋矩


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