Q&A 労災の民事賠償
Q 当社の工場で,業務中,従業員が怪我をしました。労災保険の給付を申請し,労災指定病院で治療を受けています。先日,その従業員のご家族の方から連絡があり,会社からの損害賠償金について質問を受けました。当社の会社としての法的責任については,どのように考えればよいのでしょうか。
A 労災の給付があった場合でも,使用者に安全配慮義務違反などがある場合には,法的責任を負うことになります。この安全配慮義務違反があるか否かは,分かり易くいえば,「事故防止に必要な安全措置を講じていたといえるか」で判断されます。労働安全法や諸規則への違反がなければ,それで責任がない,というものではなく,具体的な状況の下で,必要な安全措置が講じられていたかが焦点となります。
まず,貴社とされては,怪我をされた従業員さんへの社会的道義的な対応をされるとともに,法的な責任の点についての方針を決定するため,事実関係の綿密な調査をされることをお勧めします。
万一,責任が認められる場合であっても,過失相殺の争点が出てきます。また,賠償額は,労災給付があった限度で減額されます。詳しくは,弁護士にご相談ください。