Q&A 未払残業代と源泉所得税等の控除
Q 当社は,従業員から過去2年分の残業代の請求を受けました。今後,精査したうえで,金額の交渉をするのですが,所得税や社会保険料は,どのように取り扱えばよいのでしょうか。
A おおまかな考え方として,「給与」として支払う場合は,源泉所得税や社会保険料の控除が必要となります。従業員が残業代を計算して請求してきた事案であれば,その支払は,やはり「給与」であって,源泉の処理が必要になるのが原則だと思われます。
もっとも,従業員に支払うのが「実質的な損害賠償」(名目は解決金や和解金)であれば,その処理は必要ではない,ということになりますが,この扱いは,残業代請求が主たる争点ではなく,他に大きな争点がある場合(従業員の地位の確認など)に用いられていると思います。
具体的にどのような経理処理をするのかは,ケース・バイ・ケースになります。そのため,交渉に入るのに先立って,貴社の税理士の先生や社会保険労務士の先生と相談され,控除の要否とその金額の見込みについて,予測をお立てになることをお勧めします。弁護士に交渉を依頼される場合であっても,税理士,社会保険労務士との連携が有効な事案であると思います。