Q&A サイニング・ボーナスの注意点
- 2019年05月12日
- 労使問題
Q 当社は、経験者を従業員として中途採用した際に、いわゆるサイニング・ボーナスとして、雇用契約時に年俸の25パーセントを支払いました。その際、「2年以内に自主退職した場合は、その全額を返還する」という条項の入った覚書を作成しました。
その雇用契約からまだ1年余りですが、先日、その従業員が自主退職の相談をしてきました。そのため、サイニング・ボーナス返還の覚書のことに言及したところ、難色を示されました。双方納得して「覚書」を作成したのですが、法律上の効果はどうなるのでしょうか。
A サイニング・ボーナスの退職による返還合意の有効性は、裁判例でも争われたことのある争点です。裁判例においては、返還規定が「労働者の意思に反して労働を強制することになるような不当な拘束手段である」とされて、労働基準法違反とされて、無効とされた例があります。
サイニング・ボーナスの性質や、金額などの諸事情によって、ケース・バイ・ケースではありますが、いわば、従業員が辞めにくいような効果が返還規定にある場合は、無効とされる可能性が高いと思われます。詳しくは、ご相談ください。