Q&A 定時株主総会と新型コロナウイルス流行
Q 当社は3月決算で、例年6月に定時株主総会を開催していました。今年については、新型コロナウイルスのため、営業自体を相当程度自粛していますし、決算や当日に向けた準備のためにマンパワーを割くことが困難です。
株主総会の開催について、どんな対策がありますか。
A まず最初に、一般論として、今年については、例年どおりのスケジュールにこだわる必要はない、と考えられています。
たしかに、定款において、「毎事業年度の終了後3ヶ月以内に招集」と記載している例は多いですが、天災のような極めて特殊な事情により開催できないときは、総会開催が現実的に可能となる時期まで日程をずらすことは、定款違反にならない、と考えられています。
このように、総会の開催日を7月以降とする場合、議決権行使ができる株主の「基準日」が、法律が要求する3ヶ月(会社法124条2項)を超えることになりますので、「基準日」は新たに定め、公告することになります(会社法124条3項)。
もし、株主総会を今年6月下旬に開催する場合であっても、審議・決議する事項は、取締役の選任などの案件にどどめ、計算書類の承認や監査報告については、「延期・続行」したうえで、後日「継続会」を開催する方法があります。この方法であれば、決算業務を、無理をしてまで急ぐ必要がなくなります。
また、株主総会の開催方法についても、感染防止のため必要かつ合理的な方法で、一定の制限を行うことは可能だと考えられます。(経済産業省が「株主総会運営に係るQ&A」 を公開していますので、ご参考にしてください。https://www.meti.go.jp/covid-19/kabunushi_sokai_qa.html )
なお、株主数が限定された、小規模な株式会社であれば、いわゆる「書面での決議」(会社法319条・株主総会決議の省略)を利用する方法があります。この制度は、もともと緊急事態を想定した制度ではありませんが、今年度のような緊急事態においても利用可能です。