相続登記義務化、始まる(会社と相続ニュース No.27 2024年4月・5月合併号)

相続登記義務化、始まる

1 ついに始まります

 『会社と相続ニュースNo.7 2022年8月号』にてご紹介しました「相続登記義務化」が、ついに始まります。2024年4月1日からスタートです。

 インパクト大の新制度を、改めて見ていきたいと思います。

2 期限は3年

 相続人は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。

 2024年4月1日より前に相続した不動産についても、義務化の対象になります。期限は、2027年3月31日です。

3 遺産分割も遺贈も対象

 相続登記義務化の対象は、相続により取得したことを知った不動産です。遺産分割(相続人間の話合
い)が成立し不動産を取得した場合や、相続人が遺贈を受けた場合なども対象になります。なお、相続
で取得したことを「知った日」から義務がスタートしますので、取得した不動産を具体的に知るまでは、相続登記の義務はありません。

4 過料の可能性

 「正当な理由」がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

(1)2024年4月1日以降に不動産を相続で取得したことを知った場合

 「知った日」から3年以内に相続登記をしない場合で、相続登記をしないことについて「正
当な理由」がないときには、過料の対象となります。

 別途、遺産分割によって不動産を取得した場合は、遺産分割の日から3年以内に遺産分割の内容に応じた登記をする必要があります。

(2)2024年4月1日より前に不動産を相続で取得したことを知った場合

 2027年3月31日までに相続登記をしない場合で、相続登記をしないことについて「正当な理由」がないときには、過料の対象となります。

 法定相続分での相続登記がされた後に遺産分割によって不動産を取得した場合は、遺産分割の日又は2024年4月1日のいずれか遅い日から3年以内が期限となります。

5 過料が科されない「正当な理由」

 一般的に、以下のとおりです。

(1)相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合
(2)遺言の有効性や遺産の範囲等が相続人等の間で争われているために相続不動産の帰属主体が明らかにならない場合
(3)相続登記の義務を負う者自身に重病その他これに準ずる事情がある場合
(4)相続登記の義務を負う者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第1条第2項に規定する被害者その他これに準ずる者であり、その生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合
(5)相続登記の義務を負う者が経済的に困窮しているために、登記の申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合

6 相続登記の義務を果たすための簡易な方法

 早期の遺産分割が難しい場合には、今回新たに作られた「相続人申告登記」の手続を法務局ですることによって、義務を果たすこともできます。

 「相続人申告登記」は、申出をした相続人についてのみ、相続登記の義務を履行したものとみなされ
ます。各相続人は、それぞれ申出をする必要があります。なお、複数の相続人が連名で申出書を作成することで、複数人分の申出をまとめてすることもできます。

7 ご相談は、ナラハの新事務所まで

 新制度により、「所有者不明土地」問題の解消、民間取引・公共事業の促進が実現されるかどうか、今後の動向が注目されます。

 相続登記の義務を果たす前提としての遺産分割。新事務所移転のナラハまで、ぜひご相談ください。

執筆:弁護士 市ノ木山朋矩
■ コラム ■

~眠る前のひととき~

 毎晩、夜眠る前に、布団の中で本の「読み聞かせ」をするのが、私と子どもら4人の習慣です。長女(16才)と長男(13才)は、自分で読む方が早いからといって、いつのまにか「読み聞かせ」から卒業していきました。今は、二男(11才)と三男(8才)が、私の「読み聞かせ」に付き合ってくれています。

 子どもらのお気に入りの本は、昔は「ぴょーん」(まつおかたつひで著、ポプラ社)や「もこ もこもこ」(谷川俊太郎著、文研出版)が、少し前は「すてきな三にんぐみ」(トミー・アンゲラー著、偕成社)や「時計つくりのジョニー」(エドワード・アーディゾーニ著、こぐま社)が、最近は「ルドルフとイッパイ」アッテナ (斉藤洋著、講談社)のシリーズや「二分間の冒険」(岡田淳著、偕成社)などいろいろありますが、中でも「はてしない物語」(ミヒャエル・エンデ著、岩波書店)は傑作です。昔はやった映画「ネバーエンディング・ストーリー」は、この「はてしない物語」が原作ですが、原作には映画に描かれていない後半があるんですね。

 大人も楽しめるファンタジー、一日の疲れを癒す眠る前のひとときに、自分への読み聞かせ、いかがでしょうか?

執筆:弁護士 田辺美紀

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