相続登記義務化のインパクト(会社と相続ニュース No.7 2022年8月号)

相続登記義務化のインパクト

1 「亡曾祖父名義の土地」

 相続でもめて、不動産の名義を変更できない…。よく受ける相談です。これまでは、「仕方ない」と、放置されることも多かったようです。

 しかし、これからは、そうはいかなくなります。それどころか、今すでに長期間相続登記がされていない不動産、例えば「亡曾祖父名義の土地」のような不動産も、相続登記が義務化されるのです。

 法律実務家としては、インパクトの大きい制度変更について、見ていきましょう。

2 なぜ、義務化?

 なぜ、相続登記が義務化されるのでしょう。法務省の説明は、「相続登記がされないと、所有者がわからず、復旧・復興事業等や取引を進められないから」というもの。いわゆる「所有者不明土地問題」です。

 しばらく前、北海道で大規模な地滑りが発生したことがあります。このとき、長期間、行政が復旧工事に着手できず、問題になりました。

 なぜ、復旧工事に着手できなかったのか。

 行政は、土地の所有者に連絡をとろうとしました。しかし、土地の中にいわゆる「原野商法」で売買された土地が相当数含まれていました。

 そのような土地は、相続登記がされないまま、というケースが珍しくありません。結局、所有者と連絡がとれないという土地が相当数あったため、復旧工事の着手が遅れたそうです。

 そこで、相続登記が義務化されるのです。

3 不動産の不人気

 藤木は、これからの時代、「原野商法の土地」に限らず、相続登記がされない不動産が増える、と予想しています。

 高度経済成長期、不動産は人気の資産でした。
しかし、不動産人気は、陰りが見えています

 例えば、空き家は、平成5年から平成25年にかけて、1.8倍に増えました。数にして、448万戸から820万戸です。私どもの相談業務でも、「不動産は、要らない」という声を聞くことが増えています。

 まさに、「不動産」ならぬ「腐動産」「負動産」などと言われる現状なのです。

4 新しくなる相続登記制度

 相続登記の義務化は、令和6年4月1日から始まります。注意すべきは令和6年4月1日以降開始する相続「だけではない」という点です。過去の相続にかかる不動産も、義務化の対象になるのです。

 義務に違反すればどうなるか。正当な理由がないのに、不動産の相続を知ってから3年以内に相続登記の申請をしないと、「10万円の過料」が科されることがあります。

 なお、過去の相続にかかる不動産については、相続を知ってから3年以内「ではなく」、令和9年3月31日までに相続登記の申請をすればよいとされています。

5 遺産分割協議がもめたら

 遺産分割協議が何年ももめる、ということがあります。このような場合、どうすればいいのでしょう。

 まず、①法定相続分での相続登記をすることができます。相続人であれば一人で単独でできます。

 あるいは、②「相続人申告登記」という、新設される手続をとることで義務を果たしたと扱われることになります。ただし、この場合でも、分割協議が整えば新所有者は相続登記をする必要があります。

 義務化の対象となる方は、多いと思われます。ご留意いただければ幸いです。

執筆:弁護士 藤木秀行
■ コラム ■

~自己紹介~

no36

 はじめまして、有年孝将(ありとしたかまさ)と申します。

 約1年半大阪市内の法律事務所で働いておりましたが、この度、弁護士法人ナラハ奈良法律事務所に入所す ることになりました。

 生まれは大阪ですが、小学生の頃に奈良に引っ越して以来、高校まで奈良県内の学校に通い、司法修習も 奈良で行っており、奈良のことが大好きです。

 奈良の皆様のお役に立てるよう、努力して参ります。

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 そのような不安を少しでも軽減し、ご相談者様の気持ちに寄り添った最善の解決方法を一緒に考えていくことが、弁護士の役割だと考えています。

 「この先生に任せておけば安心」と思っていただけるような弁護士になれるよう、日々精進して参ります。

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 趣味は、おいしいものを食べること、ドライブ、映画鑑賞です。

 特に、ラーメンが大好物で、美味しい店や新しい店の情報が入ると、車を運転してどこまでも食べに行きます。

 もし美味しいお店の情報がありましたら、ぜひ教えてください。

執筆:弁護士 有年孝将

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