相続した不要な土地を国に引き取ってもらえる?(会社と相続ニュース No.10 2022年11月号)

相続した不要な土地を国に引き取ってもらえる?

1 相続土地国庫帰属制度とは

 「会社と相続ニュース№7」でお話しした「所有者不明土地問題」を解消するため、令和3年4月21日に、民法等の一部を改正する法律と相続土地国庫帰属法が成立しました。この両法律は、①登記がされるようにするための不動産登記制度の見直し、②土地を手放すための制度(相続土地国庫帰属制度)の創設、③土地・建物の利用に関する民法の規律の見直し、の3つが柱となっています。

 №7では①についてご説明しましたが、今回は②「相続土地国庫帰属制度」をご紹介しましょう。これは、一定の条件のもとで、相続又は遺贈によって取得した不要な土地を手放し、国庫に引き取ってもらうことが可能となる制度で、令和5年4月27日からスタートします。

 以下、制度のメリットや手続きについて、見ていきましょう。

2 制度のメリット

 相続土地国庫帰属制度は、土地利用ニーズの低下等により、土地を相続したものの、土地を手放したいと考える者が増加している、また、相続を契機として、土地を望まず取得した所有者の負担感が増しており、管理の不全化を招いている、という背景から考案された制度です。

 これまで、相続したものの買い手が見つかりそうにない土地を手放す方法として、相続放棄という方法がありました。しかし、相続放棄の場合、不要な土地だけでなく、すべての相続財産を手放さなければなりませんでした。

 この制度を使うことで、不要な土地だけを選び、手放すことができるようになります。

3 どのような場合に申請できる?

 もっとも、どのような土地でも簡単に手放すことができるとすると、管理コストの国への転嫁や土地の管理をおろそかにするモラルハザードが発生するおそれがあることから、一定の要件が設定され、法務大臣が要件審査をすることとなりました。

 まず、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限ります。)により土地を取得した相続人は、承認申請をしなければなりません。申請先は、今のところ、帰属させる土地を管轄する法務局・地方法務局が予定されています。共有地の場合は、共有者全員で申請をする必要があります。

 申請をすることができないケース(却下事由)は、A建物がある土地、B担保権や使用収益権が設定さ
れている土地、C他人の利用が予定されている土地、D土壌汚染されている土地、E境界が明らかでない土地、所有権の存否や範囲に争いがある土地、です。

4 承認されないことも?

 相続人から申請があると、法務大臣による審査が行われます。もっとも、通常の管理・処分に当たっ
て過分な労力や費用がかかる土地等は、承認を受けることができません(不承認事由)。

5 気になる負担金の額は?

 法務大臣の承認があると、申請者は10年分の土地管理費に相当する負担金を納付しなければなりません。

 令和4年9月29日に負担金の算定方法を定めた政令が公布されており、法務省のHPですぐに確認することができます。

 皆様の気になる土地の負担金の額、ぜひ計算してみてはいかがでしょうか。

執筆:弁護士 有年孝将

【ナラハQ&Aコーナー】不貞の慰謝料請求をされました

Q 妻子のある男性と知り合い、交際するようになりました。私との関係が男性の妻にばれてしまい、妻から慰謝料請求されています。男性からは家庭内別居状態だと聞いていました。

 それでも、慰謝料を支払わないといけませんか?

A 妻子のある男性と不倫をしていたということであれば、民法上、不法行為に該当し、慰謝料の支払義務が生じる可能性が高いでしょう。

 もっとも、不倫に至る経緯や内容など事情は様々です。詳しくは弁護士にご相談されるのが良いかと思います。

回答:弁護士 林揚子
■ コラム ■

~車のモーター、心のモーター~

 1歳半の甥が、「働く車」にはまっています。パトカー、消防車、ショベルカーなどです。

 ミニカーには、大きく分けて3つのタイプがあるようです。

①プルバックタイプ:地面に置いたまま後ろに引っ張って手を離すと、前に進むもの
②普通のタイプ:モーターなどはついておらず、手を使って前に進めるもの
③フリクションタイプ:(後部)タイヤを地面に擦らせるなどして前回転させ手を離すと、前に進むもの

 1歳半にとっては、動かせればどれも同じようで、モーターがあるかないかは関係なさそうです。

 ミニカーで遊ぶその姿を、いつも微笑ましく眺めています。

 …と、のんびりと、甥っ子の姿を眺めているばかりではいけません。

 ミニカーではなく、良い感じの、マイカーを。

 甥っ子だけではなく、我が子を。(いや、その前に、パートナーを。)

 それこそ、マイカーは自分の心ひとつなのですが、心のモーターが走っておりません。

 良いお相手(人も車も)を探しております。情報お持ちの方、おられましたら、お声がけいただけ ますと幸いです。

執筆:弁護士 市ノ木山朋矩

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