事業承継、待ったなし!(会社と相続ニュース No.13 2023年2月号)
- 2023年01月30日
- 会社と相続ニュースバックナンバー
事業承継、待ったなし!
1 円滑な事業承継の推進のために
2022(令和4)年3月、中小企業庁は、「事業承継ガイドライン(第3版)」(以下「GL」といいます。)を公表しました。中小企業・小規模事業者における経営者の高齢化、後継者不在の課題が残るなか、約5年ぶりの改訂です。
新型コロナウイルス感染症への捉え方が変わりつつあるなかで、事業承継を進めようという機運は高
まってくると思われます。そこで、今回は、GLについて概観すると共に、令和4年の改訂ポイントについてご紹介します。
2 GLの概観
GLは6つの章で構成されています。
- 各種データを引用して、事業承継に向けた早期取組の重要性を説きつつ、事業承継の3類型(親族内承継、従業員承継、社外への引継ぎ(M&A))、事業承継の構成要素(後継者に承継すべき経営資源)である「人(経営)」、「資産」、「知的資産」の3要素について解説
- 事業承継に向けて踏むべき5つのステップ(Ⅰ事業承継に向けた準備の必要性の認識、Ⅱ経営状況・経営課題等の把握(見える化)、Ⅲ事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)、Ⅳ事業承継計画の策定(親族内・従業員承継の場合)、又は、M&Aの工程の実施(M&Aの場合)、Ⅴ事業承継・M&Aの実行)を紹介し、事業承継の流れを解説
- 事業承継の3類型ごとの課題と対応策を整理
- 事業承継を円滑にするための、種類株式・信託・生命保険・持株会社の活用法を紹介
- 個人事業主の事業承継(の本質)について説明
- 地域における事業承継支援体制の強化の必要性を説きながら、中小企業の事業承継をサポートする仕組み、サポート機関について説明
GLは、中小企業経営者が、事業承継に関する課題を認識し、個社の事情に応じて必要な準備・対応に着手するための「道しるべ」となるように、また、中小企業支援機関が、事業承継支援の「スタンダード」として、日々の支援業務の強化に役立てられるようにとの思いから作成されています。
3 令和4年の改訂ポイント
近年、従業員承継や第三者承継(M&A)が増加しています。そこで、従業員承継について、事業者ヒアリング等を行い、後継者を選定・育成するプロセス等の内容を充実させました。また、第三者承継(M&A)についても、令和2年3月に策定された「中小M&Aガイドライン」等の内容を反映し、内容の充実を図りました。
事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)は、後継者候補との協力実施が有効であり、不可欠です。そこで、現経営者目線に立った説明だけでなく、事業を引き継ぐ後継者の目線に立った説明も充実させました。
4 弁護士の寄り添い
事業承継のサポート機関には、士業専門家も含まれます。
弁護士は、中小企業や経営者の代理人として、事業承継を進めるにあたり、経営者と共に金融機関や株主、従業員等の利害関係者への説明・説得を行い、円滑な事業承継を進める役割を担います。とりわけ、株主関係が複雑な場合や、会社債務・経営者保証等に関する金融機関との調整・交渉が必要な場合、M&Aを活用する場合等においては、法律面全般の検討と課題の洗い出し、それらを踏まえたスキーム全体の設計、契約書をはじめとする各種書面の作成といった支援を行います。
5 事業承継、待ったなし!
事業承継の準備が十分でなかったために、円滑な事業承継ができずに不本意な結果になってしまうことは避けなければなりません。円滑な事業承継を成し遂げ、世代を超えて事業が継続・発展することは、地域経済・社会にとっても重要なことです。
2025(令和7)年、いわゆる団塊の世代の方全員が75歳以上となります。これを目前に控え、事業承継はいよいよ待ったなしの状況です。
事業承継が必要か、何からすればいいのか、見当がつかないということがあるかもしれません。まず
は、経済産業省(中小企業庁)のHP掲載の「事業承継(自己)診断」(チェックシート形式のもの)を実施し、『相談できる専門家が身近にいるか?』というところから始められるのはいかがでしょうか。
【ナラハQ&Aコーナー】
Q
離婚、父でも親権がとれますか
A
「親権者は、母」と決まっている訳ではありません。
離婚にあたり、親権者をどちらとするか、話合いがつかないことがあります。最終的には、離婚訴訟で裁判所が親権者を決定します。親権者を母とすることが多いと言われていますが、決まっている訳ではありません。従前及び現状の監護状況に鑑み決定されるのが一般的です。母が監護していると、母が親権者とされることが多い、ということです。なお、おおむね15歳以上の未成年者については、本人の意思も尊重されます。また、乳幼児については母とされる傾向があるようです。
~名作を再び~
そういえば、名作といわれる本をしばらく読んでいなかったなと思い、今年は、青春時代に挑戦して挫折した、トルストイの「戦争と平和」にチャレンジすることにしました! トルストイの「戦争と平和」の日本語訳は、北御門二郎氏(東海大学出版会)や、藤沼貴氏(岩波文庫)、工藤精一郎氏(新潮文庫)、望月哲男氏(光文社古典新訳文庫)など、幾つかあります。
ちなみに、私の記憶に残る世界の名作には、ロジェ・マルタン・デュ・ガールの「チボー家の人々」、ドストエフスキーの「罪と罰」「白痴」「カラマーゾフの兄弟」「虐げられた人びと」、スタンダールの「赤と黒」、エミリー・ブロンテの「嵐が丘」、ミラン・クンデラの「存在の耐えられない軽さ」「冗談」などがあります。
また、私の好きな日本人作家は山崎豊子氏で、「華麗なる一族」「大地の子」「沈まぬ太陽」など、同氏の本は何冊も読みました。「華麗なる一族」には、山崎豊子氏が好んで定宿にしていた志摩観光ホテルが描かれているのですが、若かりし頃に志摩観光ホテルの「ラ・メール」でディナーをとり雰囲気を楽しんだこともありました。その他、司馬遼太郎氏の「坂の上の雲」「竜馬がゆく」や、吉川英治氏の「三国志」も、私の記憶に残る名作です。
ところで、うちの子どもら4人にこれらの名作を勧めても、まったくといっていいほど読んでくれません。子どもらがまだ幼いからなのか、あるいは、もはや時代が違うからなのか?! 子どもら曰く、皆さんにお勧めする名作は、「ハリーポッター」「都会のトム&ソーヤ」「かいけつゾロリシリーズ」なのだそうです!