相続でもめた!…「調停の実際」その2(会社と相続ニュース No.17 2023年6月号)
- 2023年05月31日
- 会社と相続ニュースバックナンバー
相続でもめた!…「調停の実際」その2
1 「会社と相続ニュースNo.12」に続いて
前回(その1)では、遺産の範囲の確定などについて概観しました。今回は、特別受益、寄与分について、見ていきましょう。
2 遺産分割調停の想定事案
被相続人:母
相続人 :姉(母と同居)、弟(遠方で別世帯)
相続財産:実家(土地+家屋)
預貯金2000万円
ただし、生前に多額の引出金あり
3 特別受益(特別受益者の相続分)
条文は、次のとおり定めます。
民法第九百三条共同相続人中に、被相続人から、①遺贈を受け、又は②婚姻若しくは養子縁組のため若しくは③生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。(附番、下線追記は筆者、以下略。)
ラフに言えば、「特別受益を受けた人は、調停で認められる相続分が少なくなる可能性がある」ということです。
どのようなケースで特別受益が認められるか。よく問題となるのは「生計の資本としての贈与」です。これは、贈与金額、贈与の趣旨などから判断する、ということになります。相続分の前渡しと認められる程度に高額の金員の贈与は、原則として特別受益に当たります。一方、短期間で費消される少額の贈与は、特別受益に当たらない可能性が高いでしょう。
想定事案では生前に多額の引出金があるようです。母と同居していた姉が自身のために費消していた、ということであれば、特別受益に当たるのではないか、という形で問題となるでしょう。
もっとも、この場合であっても、母が「持戻し免除」(民法同条3項)の意思を表示していれば、特別受益には当たらない、ということになります。
4 寄与分
第九百四条の二共同相続人中に、①被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、②被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。(附番、下線追記は筆者、以下略。)
どのようなケースで寄与分が認められるか。よく問題となるのは「療養看護」です。これは、被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待されるような程度を超える貢献である必要がある、とされています。ただ単に被相続人と同居し、家事の援助を行っているに過ぎない場合は、「特別の寄与」は認められ難いでしょう。
5 最後に
今回は特別受益、寄与分を概観しました。
次回は「分け方」について見てきましょう。
【ナラハQ&Aコーナー】女性の再婚禁止期間
Q
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A
夫婦円満な家庭の形は様々です。あなたが妻と婚姻関係の継続を望んでおられるのでしたら、妻とよく話し合うことをお勧めします。なお、家庭裁判所で「夫婦関係調整調停(円満)」という手続もありますので、必要に応じてご利用ください。
~魅力の秘訣は人間力に~
大和八木駅の近くにひっそりと佇む、あるサンドイッチ専門店に通うのが最近のマイブームです。
毎日朝から数種類の色鮮やかなサンドイッチを販売するこのお店は、サンドイッチの美味しさは勿論のこと、店主さんの人柄がとても魅力的で、カフェスペースにも多くのファンが通い、毎日完売しています。
店主さんは、カウンセラーや講師をご経験されていることもあり、相手にうまく寄り添いつつ少し毒のあるユーモアを交えた話し方をされていて、ついつい話しかけたくなってしまうコミュニケーション力をお持ちです。
ただ商品を売るだけに留まらない、店主さんのお店作りがお客さんを吸い寄せているのでしょうか。良いサービスの提供には、人間力の養うことが大切なのだと、肌で感じさせてくれます。
私も、サンドイッチをいただきながら、人を吸い寄せる技を吸収しようと、いつもこのお店に通っています。
考えていたらまた食べに行きたくなってしまいました…