【最新判例】同一労働同一賃金に関する最高裁の判決


 

新聞各社の報道によりますと、

最高裁判所は、いわゆる「非正規労働者の待遇格差」について注目されていた2件の事件について、本日、判決を言い渡しました。

その2件とは、①アルバイト職員に「賞与」を支給しなかった事件(大阪医科薬科大学事件)と、②契約社員に「退職金」を支給しなかった事件(メトロコマース事件)です。

最高裁判所は、いずれも、労働者側の請求を認めない判決を言い渡しました。

今月15日には、契約社員に対する手当の支給に関する事件(日本郵便事件)について、判決が言い渡される予定です。

なお、当事務所では、「判例解説と労務管理の展望」についてのセミナーを企画中です。


Q&A 他社による無断の画像利用と、著作権法上の「引用」


 

Q 弊社は、店舗の商品を、通販サイトでも販売しています。今回問題となったのは、オフィス用の特殊な観葉植物の写真です。その写真は、弊社のオフィス内で、弊社スタッフが撮影したもので、商品のコンセプトや特徴などが伝わるように、様々な工夫をして独特の画像となっています。

 先月、他社のホームページの中で、たくさんのイメージ写真に混じって、弊社の写真が使われていることが分かりました。弊社の総務担当者が電話で問い合わせたところ、「『引用』であるため違法ではない」旨の回答がありました。たしかに、ホームページの隅に、引用元として弊社の名前が記載されています。それ以外に、写真の説明や写真に対するコメントなどはありません。

 弊社としては、他社に無断で利用されるのは避けたいと考えています。どのように対応すればいいでしょうか。

A よくある誤解の一つです。結論からいえば、この事案では「引用」の要件は満たしておらず、貴社の著作権は侵害されていると考えられます。本格的に争うとなれば、「警告書」を出したうえ、交渉を始めることになると思います。

 まず、貴社の写真は、貴社が工夫して撮影されたものということですので、創作的に表現したものとして、「著作物」にあたる可能性は高いといえます。

 次に、他社が主張する「引用」の要件を満たすかを検討します。

 この点、著作権法上認められる「引用」といえるためには、そもそも「引用の必要性」が求められます。その必要性とは、報道、批評、研究などの正当な理由をいいます。

 ご相談の事例では、他社のホームページのイメージ写真の中に混じっていたもので、写真についてのコメントもない、ということです。そうすると、単に写真を利用しているだけ、ということになります。そのような事案においては、そもそも引用の必要性がないというべきと考えます。そのため、著作権法で許される「引用」には該当しないものと考えられます。

 ケースバイケースの判断が求められることが多いですので、詳しくは弁護士等の専門家にご相談ください。


Q&A 個人事業主・フリーランスとの契約条件の変更

 

Q コロナショックの影響で、当社から個人事業主に外注に出している作業が激減し、相当以前に作成した「業務委託契約書」が実態にあわなくなりました。契約変更を打診することを検討していますが、注意することはありますか。

A 契約条件の変更は、取引の相手方と十分に協議してください。そして、協議の結果に決まった報酬額や契約条件については、書面等を作成するようにしてください。

 取引条件を一方的に決定したり、他の業者との取引を制限したり、費用負担を要求すると、独占禁止法が禁止する「優越的地位の濫用」に該当する可能性が出てくるおそれがあります。

 なお、新型コロナウイルスの流行と関係して、経済産業省と厚生労働省、公正取引委員会が、個人事業者等への配慮を求める文書を発表していますので、併せてご参考にしてください。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2020/mar/kitori/200310yousei.pdf


いわゆる「職場でのパワハラ」の防止について規定する法律が施行されました。


 

令和2年6月1日、改正労働施策総合推進法(正式名称「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」)が施行されました。

中小企業については、施行は、令和4年4月1日からです。

事業主に対して、職場でのパワーハラスメントを防止する義務が明文化され、「パワーハラスメント」の定義が規定されました。

パワーハラスメントとは、職場における、①優越的な関係を背景とした 、② 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により 、③ 就業環境を害すること(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること) の3つの要件を満たすものです。

厚生労働省から、指針が発表されていますので、ご参考にしてください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000595059.pdf


Q&A 定時株主総会と新型コロナウイルス流行

 

Q 当社は3月決算で、例年6月に定時株主総会を開催していました。今年については、新型コロナウイルスのため、営業自体を相当程度自粛していますし、決算や当日に向けた準備のためにマンパワーを割くことが困難です。

 株主総会の開催について、どんな対策がありますか。

A まず最初に、一般論として、今年については、例年どおりのスケジュールにこだわる必要はない、と考えられています。

 たしかに、定款において、「毎事業年度の終了後3ヶ月以内に招集」と記載している例は多いですが、天災のような極めて特殊な事情により開催できないときは、総会開催が現実的に可能となる時期まで日程をずらすことは、定款違反にならない、と考えられています。

 このように、総会の開催日を7月以降とする場合、議決権行使ができる株主の「基準日」が、法律が要求する3ヶ月(会社法124条2項)を超えることになりますので、「基準日」は新たに定め、公告することになります(会社法124条3項)。

 もし、株主総会を今年6月下旬に開催する場合であっても、審議・決議する事項は、取締役の選任などの案件にどどめ、計算書類の承認や監査報告については、「延期・続行」したうえで、後日「継続会」を開催する方法があります。この方法であれば、決算業務を、無理をしてまで急ぐ必要がなくなります。

 また、株主総会の開催方法についても、感染防止のため必要かつ合理的な方法で、一定の制限を行うことは可能だと考えられます。(経済産業省が「株主総会運営に係るQ&A」 を公開していますので、ご参考にしてください。https://www.meti.go.jp/covid-19/kabunushi_sokai_qa.html

 なお、株主数が限定された、小規模な株式会社であれば、いわゆる「書面での決議」(会社法319条・株主総会決議の省略)を利用する方法があります。この制度は、もともと緊急事態を想定した制度ではありませんが、今年度のような緊急事態においても利用可能です。

 


Q&A テレビ会議による取締役会と議事録

 

Q 当社は、社内会議のほとんどをテレビ電話システムを利用するようになりました。取締役会についても、テレビ会議システムを利用しても、法的に有効でしょうか。また、議事録の作成について、注意点はありますか。

 

A  テレビ会議システムを利用し、取締役会を開催することは可能です。 従来から、良質な通信環境のテレビ会議システムであれば、テレビ会議システムでの参加であっても、取締役会の「出席」と扱うことに問題はないとされてきました。

 法務省の説明によると、「取締役間の協議と意見交換が自由にでき、相手方の反応が良く分かる場合、すなわち、各取締役の音声と画像が即時にほかの取締役に伝わり、適時的確な意見表明が互いにできる仕組み 」 (注)である必要があります。(注)法務省民事局参事官室「規制緩和等に関する意見・要望のうち、現行制度・運用を維持するものの理由等の公表について 」(平成8年4月19日 )

 なお、取締役会の議事録には、テレビ会議システムで「出席」した取締役については、その「出席の方法」を記載する必要があります(会社法施行規則101条3項1号)。
 たとえば、出席取締役の氏名の後ろに、「テレビ会議システムによって参加」と付記します。

 また、議事録には、「上記の適時的確な意見表明が互いにできる」の要件があったことを確認した事実を記録に残すため、「出席者が一堂に会するのと同等に、テレビ会議システムは、開会から閉会に至るまで、適時的確な意見表明が互いにできる状態にあった」旨の条項を入れることをお勧めします。


雇用調整助成金の助成率の変更等について


 

雇用調整助成金の特例措置が更に拡充され、助成率が変更されることになりました。

また、「雇用調整助成金支給要領」については、令和2年5月1日版が公開されています。

詳しくは、厚生労働省ホームページをご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

(従前、当事務所のニュースレター等でご案内しておりました条件や助成率から、変更がなされるものです。詳しくは、上記厚生労働省ホームページをご参照ください。)


厚生労働省HPの新型コロナウイルス関連 Q&Aについて


 

厚生労働省のHPには,企業向けにQ&Aが掲載されており,随時,アップデートされています。最新の有益な情報が掲載されています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html


改正民法(債権法分野)が施行されました。


 

令和2年(2020)4月1日から,新しい民法が施行されました。

消滅時効,保証,法定利息については,特に注意が必要です。制度の概要については,法務省が関連パンフレットを出していますので,ご参考にしてください。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html

個別の事案に関する適用については,当事務所へお問合せください。


Q&A 新型コロナウイルス関連(在宅勤務、テレワーク)

 

Q 当社は、今回初めて、従業員を出勤させず、自宅でオフィスワークをさせたいと考えています。どのような注意点があるでしょうか。就業規則には、自宅勤務の規定は全くありませんし、事業場外のみなし時間制もとっていません。

A 就業規則に規定がなくとも、自宅での勤務を命じることはできると考えられます。新型コロナウイルスの流行の状況からすると、安全配慮義務を果たす点でも意義があります。自宅での勤務に支障がある従業員もおられるでしょうから、意向を確認することは大切だと思います。

 注意すべきことは、労働時間の管理です。オフィスワークの場合、始業時刻と終業時刻は、従来どおりとし、電話やメールで業務開始と終了を連絡する、という方法が現実的です。あくまで例外的な取扱いですので、自宅勤務の期間は、可能な限り、時間外労働はさせないほうが無難と思われます。やむをえず、時間外労働を命令する場合には、労働時間管理を徹底するため、「残業申請書・命令書(兼報告書)」などの書式を利用することをお勧めします。

 なお、関連する質問として、従業員側から「高熱があるが、家で仕事をしたい。自宅勤務にしてほしい」と希望が出る例があります。安全配慮義務の観点からは、高熱がある以上、業務に従事させることはできません。本人の申し出があったとしても、業務を命じると、安全配慮義務違反になる可能性がありますので、そのような命令は出すべきはないと考えます。


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