Q&A 建物賃貸借の合意解約についての注意点

 

Q 当社は,貸し店舗をテナントに出していましたが,このたび,賃借人さんとの賃貸借契約を,合意解約することになりました。賃借人さんに対しては,次の年度末である2019年3月末日まで,その貸し店舗の使用を認める予定です。
この合意解約について,合意書を作成する予定ですが,「賃貸借契約の終了日は2019年3月末とする」という表現でよいでしょうか。注意点があれば教えてください。

A ご記載の表現であれば,賃貸借契約は継続することとなります。そのため,2019年3月末日における解約の有効性が争われるリスクがあります。
御社の立場からすれば,「合意解約は本日付けで行い,賃貸借契約は本日終了すること」「2019年3月末日までは,明渡を猶予するにすぎないこと」が明確に分かる条項にすることをお勧めします。


Q&A 医院の待合室でのフルネームでの呼び出し


 

Q 当クリニックでは,患者さんの順番が来ると,フルネームでお呼びし,診察室へ誘導しています。
しかし,先日,ある患者さんからクレームがありました。自分の名前を他の患者さんに聞かれてしまうのは,個人情報の漏洩で,プライバシーの侵害だと抗議を受けたのです。患者さんをフルネームでお呼びすることは,やめたほうが良いのでしょうか。
A 必ずしも,やめる必要はありません。お名前自体は,秘密事項ではありませんので,プライバシー侵害の問題にはならないと考えます。
フルネームで呼ぶ方法は,取り違えを防止するという大切な意味があります。
たしかに,近時,患者さんの中には,通院していること自体もできるだけ知られたくない,と考える方もおられ,医院の中には,受付番号を発行し,番号で呼び出す方法を採用するところもあります。しかし,これは各医院の接遇方針の問題であり,法的な義務であるとまではいえません。むしろ,番号で呼ばれることに違和感を感じる,との声もあるようで,一概に,どの方法が最適であるとまではいえないのが実情だと思われます。そのため,貴院の方針にそって,適切に対応されれば良い事項だと考えます。


Q&A 取締役を辞任したが,登記が残ったままである場合

 

Q 私は,昨年,社内の経営方針の違いから,取締役を辞任することになりました。辞任届を提出し,取締役会からも承認されました。
しかし,先日,その会社の商業登記を見たところ,私の取締役登記はそのままになっていました。このままでは責任が生じるのではないかと心配です。
自分で登記申請することはできるでしょうか。
A 登記の申請は,原則として,会社が行うことになっています。そのため,まずは,会社に対し,内容証明郵便などで,辞任の登記をすることを求めてください。
会社側が辞任の登記に応じない場合は,訴訟を提起することが必要です。勝訴判決が確定すれば,判決に基づいて,原告であるあなたが登記を申請できます。
もし,登記を放置することをあなたが黙認していた,とみられると,会社の行為について,あなたが責任を負うことがありえます。そのため,状況によっては,関係先に対して,辞任した旨を通知することや,会社に対してあなたの名前を使わないよう求める仮処分を申し立てることが必要な場合もあります。
なお,あなたが取締役を退任することにより,取締役の員数が法令や定款で規定された員数を欠くことになる場合は,後任者の選任登記と同時でないと,退任の登記ができません。詳しくは弁護士にご相談ください。


Q&A 社外取締役の責任

 

Q 当社では,地域の業界で有名な方を,社外取締役として役員に迎えることを検討しています。この方は,他社でも社外取締役をされているということです。
実は,社内では反対意見があり,取締役会では経営戦略など機密事項を議論するのですが,外部の方がいると,漏洩のリスクがあって忌憚のない意見が言えなくなる,というのです。そこで,万一のことですが,情報が漏洩した場合などは,法的な責任を問えるのでしょうか。それとも,社外取締役である以上は,責任を問えないのでしょうか。
A 社外取締役であっても,取締役ですから,会社との間で委任関係があり,善管注意義務・忠実義務を負担することには変わりありません。守秘義務もありますので,違反した場合は,会社に対し,法的責任を負います。
ご承知と思いますが,社外取締役の導入については,メリットとデメリットがあり,様々な議論があります。外部の知見を導入するとしても,社外取締役というポストが相応しいのかどうかは,その会社の個性にもよります。社内で十分に議論を尽くされることをお勧めします。


Q&A 社員が会社のパソコンを使用してサイドビジネスをしている

 

Q 当社の社員が,業務時間中,自席のパソコンを使用して,サイドビジネスをしているという報告がありました。
近々,呼び出して役員から注意する予定です。サイドビジネスには,どのような法的問題点があるでしょうか。

A 業務時間中に,サイドビジネスをするということは,その時間は業務をしていないことになり,いわば職場離脱です。周りの社員への悪影響は大きいものです。
また,会社の備品を,業務以外に濫用していることになります。
さらに,このようなサイドビジネスは,会社の名前,社用のメールアドレス,業務上知り合った人脈を利用して行うことが多く,競業避止義務違反,ひいては会社の信用の低下につながります。
当該社員に対しては,就業規則の「服務規程」を示して厳重に注意し,状況に応じて,正式な懲戒処分を検討されたほうが良いと思います。


Q&A 従業員の退職にあたっての引継ぎと有給消化

 

Q 正社員が自己都合退職することになりましたが,その社員は,「退職届」の提出日から退職日まで,そのほとんどを有給申請しており,この日程では,業務の引継ぎがほとんど出来ません。そこで,有給休暇の時季指定権の行使や,退職を懲戒解雇に切り替えることを考えていますが,法的に可能でしょうか。
A たしかに,業務の引継ぎは,就業規則に規定された義務です。
しかし,退職日が迫っていて,残日数を消化できない場合,会社側から有給休暇の時季変更する余地はありません。
また,引き継ぎをしないことは,義務違反ですが,「懲戒解雇」に相当するような重大な責任があるとはいえませんので,訓戒などの懲戒処分ならともかく「懲戒解雇」とすることは選択肢にはならないと考えられます。
会社としては,就業規則に基づいて引き継ぎを要請し,また,退職日の調整を任意に求めるという方法にならざるをえないと考えられます。


Q&A 同族会社の取締役の退任と「退職金」


 

Q 当社は同族会社で,役員と従業員を合わせて20名程度です。このたび,ある取締役がトラブルもあって退任することになったのですが,退職金の請求を受けました。
 どのように対応すればよいでしょうか。
 なお,当社の定款には,取締役の退職金の規定はありません。前例としては,30年ほど前に,株主総会決議で退職慰労金を支給した例が1回あります。今回は支給の予定はありませんし,支給する話をしたこともありません。
A 取締役の退職金は,定款の規定や株主総会の決議がない限り,発生しません。その旨を説明し,ご主張には応じかねます,と対応するのが基本方針だと思われます。
なお,退任取締役が自分は「従業員」としても勤務していた(いわゆる「従業員兼務取締役」)と主張し,従業員としての退職金を請求してくることも考えられます。その場合は,「従業員」といえるのか否かが争点となります。
詳しくは,弁護士にご相談ください。


Q&A 訪問介護サービスと「労働時間」

 

Q 訪問介護に従事しているホームヘルパーの「労働時間」ですが,事業所から利用者さんの家までの移動時間は,「労働時間」に入るのでしょうか。もし,含まれるとすると,残業代の計算はどうなるのでしょうか。
A ホームヘルパーさんの場合,移動時間も「労働時間」に含まれます。利用者様宅への移動は,介護業務のために必要なものですし,使用者から命じられて行うものだからです。
そのため,残業代についても,移動時間を含めて,1日8時間・週40時間を超えているか否か,という判断を行うことになります。


Q&A 介護事故(利用者同士のトラブル)


 

Q 当社の介護施設で,利用者同士で突然ケンカになり,一方の利用者さんが暴力を振るわれ大きなケガをしました。当社が損害賠償などの法的責任を負うことはあるでしょうか。
A 原則としては,ケガの責任は加害者である利用者さんが負うことになりますが,この事故について,事業者に予見可能性と結果回避可能性がある場合は,安全配慮義務違反となって,御社も法的責任を負うということはありえます。
ケース・バイ・ケースですので,詳しくは弁護士にご相談ください。
なお,このような場合に備えて,「賠償責任保険」に加入されていると思いますので,保険の条件などをご確認ください。


契約書作成(販売店契約書,代理店契約書)


 

外国企業との間での,販売代理店契約についてのご相談がありました。
経営者同士に人的信頼関係があり,かねてから紹介関係にありましたが,正式に契約する場合,そもそも,どのような契約方法が適切であるのか,という観点からのご質問がありました。
そこで,弁護士から,大きく分けて「販売店方式」(売買契約)と「代理店方式」(委任関係)の2種類があること,そして,それぞれのメリットやデメリット,留意点をご説明しました。
そのうえで,弁護士が様々な事情をお聴きしながら,原案を作成したしました。
その原案をもとに当事者同士で話し合いをされ,原案を一定程度修正のうえ,契約を締結されました。

<補足>
この事例のように,ビジネスの内容や関係性を踏まえて,最適な契約方法を,弁護士がご提案することができます。


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