令和6年4月からの労働契約締結・更新時の労働条件明示事項 詳細が明らかに


 

 令和6年4月1日より、改正労働基準法施行規則等が施行され、労働条件明示のルールが変わります。今般、厚生労働省から、改正の内容についてのリーフレット及びパンフレット、労働条件明示等に関するQ&A、「モデル労働条件通知書」などが公開されました。
 新しく追加される明示事項は、大きく分けて、就業場所・業務の変更の範囲、更新上限の有無と内容、無期転換ルールに関する事項(無期転換申込機会、無期転換後の労働条件)の三点です。
 新ルールの施行まで残り半年を切りました。これを機に、労働条件通知書の内容を見直すなど、労働条件の明示事項やそのタイミングについて、改めて確認されることをお勧めいたします。

 

 厚労省HP https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html


宿泊施設でのカスハラ 厚労省 改正旅館業法の運用方針を公表(宿泊拒否の具体例示す)


 

 令和5年6月に成立し12月から施行される改正旅館業法により、旅館やホテルが、いわゆる「カスタマーハラスメント」を繰り返す客の宿泊を拒否することが可能となります。
 10月10日、厚生労働省の検討会は、「改正旅館業法の円滑な施行に向けた検討会」のとりまとめを公表しました。配慮を求める障害者などの宿泊拒否につながらないように留意しながら、法律の運用方針、施設側が宿泊を拒否できる具体的なケースについてまとめています。
 宿泊を拒否できるケースとしては、宿泊料の不当な割引きや契約にない送迎など他の宿泊者と比較して過剰なサービスを求める、自身の泊まる部屋の上下左右の部屋に宿泊客を入れないことを求める、特定の者にのみ自身の応対をさせることなどを求める、土下座などの社会的相当性を欠く方法による謝罪を求める、泥酔し長時間にわたる介抱を求める、対面や電話、メールなどで長時間にわたり不当な要求を行う、といった行為をそれぞれ繰り返した場合などが挙げられています。
 一方で、障害のある人が、障害を理由に配慮を求める行為や、差別的な扱いを受けたことに対して謝罪を求めることなどは、宿泊拒否の対象にはならないとされています。
 厚生労働省は、不当な宿泊拒否があった場合などの相談窓口を設置する方針で、今後、パブリックコメントで意見を募るとともに、法律の改正や運用方針の内容を分かりやすくまとめた資料を作成して、旅館やホテルの研修で活用してもらうことを考えています。


ノーベル経済学賞 男女間の格差是正など分析のゴールディン氏


 

 スウェーデンの王立科学アカデミーは、10月9日、2023年のノーベル経済学賞の受賞者を発表しました。受賞が決まったのは、米ハーバード大学のクラウディア・ゴールディン教授です。女性の雇用率や労働市場における女性の役割、男女間で賃金格差が生じた要因などを分析したことが評価されました。
 従来の研究では、経済発展が女性の就業率向上をもたらすことが定説とされていました。
 しかし、ゴールディン教授は主要産業が農業から工業に移り変わることに伴って既婚女性が仕事と家庭を両立することが困難になることなどから、工業化の過程で女性の就業率が一時的に低下していたことを突き止めました。具体的には、農耕社会から工業化に伴い女性の就業率がいったん低下した後、20世紀に入ってサービス産業が発展したことに伴い再び上昇する「U字カーブ」を描く構造を初めて解明しました。現在では、アメリカだけでなく、他の多くの国でも当てはまる現象だと評価されています。
 ゴールディン教授の研究は、政府の介入や男性の家庭参加に加えて、長時間労働を改めるなど、企業が男女間の格差是正に向けて柔軟な働き方を認めることを論理的に後押ししたとされています。


「会社と相続ニュース No.21(2023年10月号)」を掲載しました。


 

当事務所が毎月発行しておりますニュースレター「会社と相続ニュース No.21(2023年10月号)」をアップしました。
https://kigyouhoumu-naraha-law.jp/wp/?p=990


過去に発行した分も,あわせて掲載しておりますので,ぜひご一読ください。
https://kigyouhoumu-naraha-law.jp/wp/?cat=13


顕在化するカスタマーハラスメント(会社と相続ニュース No.21 2023年10月号)

 

顕在化するカスタマーハラスメント

1 カスタマーハラスメントとは

 皆様の会社で、近年、カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」と言います。)が増えていませんか?カスハラとは、顧客や取引先などからのクレーム全てを指すものではありません。クレームには、商品やサービス等への改善を求める正当なクレームもあるからです。

 カスハラとは、厚生労働省によると、「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」を言います。

2 カスハラの被害状況

 厚生労働省が実施した令和2年度の労働者に対する調査によると、過去3年間に勤務先で顧客等からの著しい迷惑行為を一度以上経験した者の割合は15%であり、パワハラの31.3%に次ぐ割合となりました。この割合は、セクハラよりも高い結果です。

 また、過去3年間のハラスメントに関する相談件数の推移についてみると、同時に調査した他のハラスメントと異なり、カスハラのみが、「件数が増加している」と回答した割合が「減少している」と回答した割合を超えています。

 カスハラは、近時、顕在化してきており、増加傾向にあるといえるでしょう。

3 カスハラの主な被害内容

 厚生労働省から委託を受けた検討委員会が実施したヒアリング調査では、正当な理由のない過度な要求(例えば、難癖をつけた代金の返還要求、入手困難な商品の過剰要求、制度上対応できないことへの要求、契約内容を超えた過剰要求)、時間拘束(長時間の居座り、電話など)、リピート型(頻繁に来店してその度にクレームを言う、度重なる電話など)、暴言、対応者への揚げ足取り、脅迫、権威型(優位な立場にいることを利用した暴言、特別扱いの要求)、SNS への投稿、セクハラなどの行為が確認されています。

4 会社の従業員に対する法的責任

 このように、近年、顕在化してきているカスハラについて、会社として適切な対応をしていなければ、従業員に対し損害賠償義務を負う可能性があります。

 カスハラに関して労働者が使用者等の責任を追及した裁判例のうち、肯定したものに「甲府市・山梨県事件」(甲府地判平成30年11月13日)が、否定したものに「まいばすけっと事件」(東京地判平成30年11月2日)や「NHK サービスセンター事件」(横浜地川崎支判令和3年11月30日)があります。

5 会社の対策

 カスハラの対応は、カスタマーに向けた対応と従業員を守るための取組が必要となるため、会社としても難しい対応を迫られることがあります。

 会社の事前の準備としては、①事業主の基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発②従業員(被害者)のための相談対応体制の整備③対応方法、手順の策定④社内対応ルールの従業員等への教育・研修が必要となるでしょう。

 また、実際に起こった際の対応としては、⑤事実関係の正確な確認と事案への対応⑥従業員への配慮の措置⑦再発防止のための取組⑧これらの措置と併せて講ずべき措置などが必要となるでしょう。

 カスハラが顕在化している今日、今一度、会社のカスハラ対策を確認されることをお勧めします。

執筆:弁護士 田辺美紀

【ナラハQ&Aコーナー】元夫が子どもに会わせてくれない

Q 

夫と離婚するに当たり、経済的な事情から、夫が子どもの親権者となりました。その後、夫が子どもに会わせてくれません。どうしたら良いでしょうか。

 

A 

家庭裁判所に面会交流調停の申立をすれば、家庭裁判所の助言を得ながら、話し合いをすることができます。場合によっては、専門性を持つ家庭裁判所調査官が調停に入り、子どもの意向を調査するなどして、より良い解決を目指し、話し合いを進める手助けをしてくれます。
詳しくは弁護士にご相談ください。

回答:弁護士 有年孝将
■ コラム ■

~休日の私と子ども~

 私はたぶん超インドア派です。

 休日はできれば1日中寝ていたいし、外に出る気になかなかなれません。

 しかし、2歳8カ月の子どもがそれを許してくれず、ボール遊びをしたり、歌を歌ったり、家じゅうを走り回ったりするので、寝て過ごす休日は夢のまた夢です。

 最近では、おもちゃの子供用携帯電話がお気に入りで、床に寝転がりながら、「ハイ、ハイ」「疲れちゃったわ~」などと喋っており、自分そっくりな姿がそこにありました。

 少しずつ自分に似てきている様子が可愛くもあり、なんとなく恐ろしい気もします。

 「かあちゃんはいつも家でごろごろしている!」と外で言われないよう、次の休日は外に出かけようと思いました。

執筆:弁護士 林揚子

令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります


 

 広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すことがいわゆる「ステルスマーケティング」です。
 消費者は、企業による広告・宣伝であれば、ある程度の誇張・誇大が含まれているものと考えており、そのことを含めて商品・サービスを選んでいます。一方で、広告・宣伝であることが分からないと、企業ではない第三者の感想であると誤って認識してしまい、その表示の内容をそのまま受けとってしまい、消費者が自主的かつ合理的に商品・サービスを選ぶことが出来なくなるかもしれません。
 景品表示法は、うそや大げさな表示など消費者をだますような表示を規制し、消費者がより良い商品・サービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守るための法律です。同法は、広告であって、一般消費者が広告であることを分からないものを規制しています。企業がインフルエンサー等の第三者に依頼・指示するものも含まれますし、インターネット上の表示(SNS投稿、レビュー投稿など)だけでなく、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌等の表示についても対象です(一方で、個人の感想等や、テレビCM等の広告であることが分かるものは対象外です。)。
 規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)であり、企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象とはなりません。
 令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。詳しくは、消費者庁のHPをご確認ください。


介護離職防止へ 企業向け指針(ガイドライン)の策定が始まります


 

 政府は、会社員が親などの介護で離職するのを食い止める手立てを、企業向けの指針(ガイドライン)としてまとめる方針です。経済産業省は、令和5年10月にも、有識者による検討会を設置し、指針策定後は、速やかに企業に周知します。介護を家族内の問題だけではなく、企業の経営上の課題と捉えての試みです。
 同省によりますと、指針には、①育児・介護休業法で定める介護休業の活用法、②介護保険サービスの使い方に関する社員研修のノウハウを盛り込みます。また、③社内に相談窓口を設置すること、④社会福祉士など外部の専門家からの助言を得ること、⑤家事代行や食料品の配達など日常生活の支援サービスを紹介することを促すなど、具体的な支援策も記載される見通しです。


フリーランスも労働安全衛生法の保護対象に


 

 令和5年9月21日、厚生労働省の有識者検討会は、令和3年5月の石綿作業従事者等による国家賠償等請求訴訟の最高裁判決において、労働者に該当しない建設作業従事者も保護対象であるとの判断が示されたことを受け、フリーランスら個人事業主を労働安全衛生法の対象に含めるとの報告書を取りまとめました。
 報告書には、個人事業主が業務中に事故にあった場合に発注企業などに国への報告を義務付けたり、年1回の健康診断を促すなど、事故の把握や事故防止、健康管理の面から個人事業主の保護策が明記されました。
 同省は令和6年以降、法令の改正を進める方針ですが、配達中の事故は報告義務の対象に含まれないなど、実効性には課題も残されています。
 フリーランスの保護は拡充されつつあります。雇用ではなく業務委託等を活用しているだけであるという場合であっても、上記内容は、今後、留意すべき事柄であると言えるでしょう。


65歳以上の高齢者の総人口に占める割合は過去最高 仕事をしている高齢者数も過去最多


 

 総務省は、令和5年9月17日、敬老の日である翌18日に合わせて、65歳以上の高齢者の推計人口(15日現在)が3623万人で、前年比1万人減だったと発表しました。比較可能な1950年以降で初めて減少しましたが、総人口に占める割合は同0.1ポイント増の29.1%と過去最高となりました。およそ10人に3人が高齢者であると言えます。
 また、同省の労働力調査によると、仕事をしている高齢者は19年連続で増加し、令和4年は912万人と、過去最多を更新しました。就業者全体での割合は13.6%であり、仕事をしている人のおよそ7人に1人は高齢者となっています。


「会社と相続ニュース No.20(2023年9月号)」を掲載しました。


 

当事務所が毎月発行しておりますニュースレター「会社と相続ニュース No.20(2023年9月号)」をアップしました。
https://kigyouhoumu-naraha-law.jp/wp/?p=967


過去に発行した分も,あわせて掲載しておりますので,ぜひご一読ください。
https://kigyouhoumu-naraha-law.jp/wp/?cat=13


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「大和西大寺駅」南側のバスロータリーより一つ手前の信号の右手に「奈良商工会議所会館」のビルがあります。
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