令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります


 

 広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すことがいわゆる「ステルスマーケティング」です。
 消費者は、企業による広告・宣伝であれば、ある程度の誇張・誇大が含まれているものと考えており、そのことを含めて商品・サービスを選んでいます。一方で、広告・宣伝であることが分からないと、企業ではない第三者の感想であると誤って認識してしまい、その表示の内容をそのまま受けとってしまい、消費者が自主的かつ合理的に商品・サービスを選ぶことが出来なくなるかもしれません。
 景品表示法は、うそや大げさな表示など消費者をだますような表示を規制し、消費者がより良い商品・サービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守るための法律です。同法は、広告であって、一般消費者が広告であることを分からないものを規制しています。企業がインフルエンサー等の第三者に依頼・指示するものも含まれますし、インターネット上の表示(SNS投稿、レビュー投稿など)だけでなく、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌等の表示についても対象です(一方で、個人の感想等や、テレビCM等の広告であることが分かるものは対象外です。)。
 規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)であり、企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象とはなりません。
 令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。詳しくは、消費者庁のHPをご確認ください。


介護離職防止へ 企業向け指針(ガイドライン)の策定が始まります


 

 政府は、会社員が親などの介護で離職するのを食い止める手立てを、企業向けの指針(ガイドライン)としてまとめる方針です。経済産業省は、令和5年10月にも、有識者による検討会を設置し、指針策定後は、速やかに企業に周知します。介護を家族内の問題だけではなく、企業の経営上の課題と捉えての試みです。
 同省によりますと、指針には、①育児・介護休業法で定める介護休業の活用法、②介護保険サービスの使い方に関する社員研修のノウハウを盛り込みます。また、③社内に相談窓口を設置すること、④社会福祉士など外部の専門家からの助言を得ること、⑤家事代行や食料品の配達など日常生活の支援サービスを紹介することを促すなど、具体的な支援策も記載される見通しです。


フリーランスも労働安全衛生法の保護対象に


 

 令和5年9月21日、厚生労働省の有識者検討会は、令和3年5月の石綿作業従事者等による国家賠償等請求訴訟の最高裁判決において、労働者に該当しない建設作業従事者も保護対象であるとの判断が示されたことを受け、フリーランスら個人事業主を労働安全衛生法の対象に含めるとの報告書を取りまとめました。
 報告書には、個人事業主が業務中に事故にあった場合に発注企業などに国への報告を義務付けたり、年1回の健康診断を促すなど、事故の把握や事故防止、健康管理の面から個人事業主の保護策が明記されました。
 同省は令和6年以降、法令の改正を進める方針ですが、配達中の事故は報告義務の対象に含まれないなど、実効性には課題も残されています。
 フリーランスの保護は拡充されつつあります。雇用ではなく業務委託等を活用しているだけであるという場合であっても、上記内容は、今後、留意すべき事柄であると言えるでしょう。


65歳以上の高齢者の総人口に占める割合は過去最高 仕事をしている高齢者数も過去最多


 

 総務省は、令和5年9月17日、敬老の日である翌18日に合わせて、65歳以上の高齢者の推計人口(15日現在)が3623万人で、前年比1万人減だったと発表しました。比較可能な1950年以降で初めて減少しましたが、総人口に占める割合は同0.1ポイント増の29.1%と過去最高となりました。およそ10人に3人が高齢者であると言えます。
 また、同省の労働力調査によると、仕事をしている高齢者は19年連続で増加し、令和4年は912万人と、過去最多を更新しました。就業者全体での割合は13.6%であり、仕事をしている人のおよそ7人に1人は高齢者となっています。


「会社と相続ニュース No.20(2023年9月号)」を掲載しました。


 

当事務所が毎月発行しておりますニュースレター「会社と相続ニュース No.20(2023年9月号)」をアップしました。
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運送業「オール歩合給」は可能か?(会社と相続ニュース No.20 2023年9月号)

 

運送業「オール歩合給」は可能か?

1 運送業2024問題

 「運送業2024年問題」をご存じでしょうか。
これは、働き方改革関連法に伴い2024年4月から、ドライバーの時間外労働時間の上限が「年間960時間」に設定されることで生じると指摘されている様々な問題です。

 中でも、ドライバー不足もあり、長時間労働の改善は道が険しいと言われています。

2 国際自動車事件最高裁判決の衝撃

 そうした中、令和2年3月30日に出された「国際自動車事件最高裁判決」は、衝撃をもって受け止
められました。同判決によって、国際自動車の賃金制度の「割増賃金」の規定が否定されました。そ
のため、法的には「割増賃金」(残業代)が未払い状態となってしまったのです。

 一審原告(労働者)によると、同原告ドライバー198人分の未払い残業代等として、会社側は総額
約4億円を支払うことで合意したとのことです。一人当たり約200万円です。賃金債権の消滅時効が2年から3年に延長された現在では、約300万円ということになるのでしょうか。会社の存続が危ぶまれる事態と言っても過言ではありません。

3 同社の割増賃金の問題

 国際自動車の賃金(割増賃金)制度は、ごく簡略に言えば、次のような制度です。

 基本的に固定給と歩合給があります。固定給は、勤務日ごとに支払われます。歩合給は売上をもとに
支払われます。それぞれに割増賃金が発生するのですが、問題がありました。固定給に対する割増賃
金が増えれば、歩合給に対する割増賃金が減り、いくら働いても割増賃金が増えないのです。

4 三和交通事件判決

 労働者の権利は重要です。同じく会社の存続も重要です。高騰しかねない残業代、なんとかすることは出来ないのでしょうか。

 ここで、三和交通事件の判決(札幌地裁平成23年7月25日判決、札幌高裁でも地裁判決維持)をご紹介したいと思います。

 同社の賃金は、形の上では基本給、歩合給、割増賃金に分けられていました。しかし、実際
はオール歩合給による賃金を、基本給、歩合給、割増賃金に振り分けているだけだったのです。

 同判決は、オール歩合給そのものは否定しませんでした。その上で割増賃金を「労基則19条1項6
号」に従って計算すべき、と判示しました。紙面の都合で詳細は割愛しますが、同号を用いると割増賃金の額はかなり低くなるのです。

5 オール歩合給は可能か?

 考えてみれば、オール歩合給を否定する条文はありません。割増賃金が不要になる訳ではありませんが、割増賃金の額を低く抑えることができます。別の稿で、オール歩合給について、述べたいと思います。

執筆:弁護士 藤木秀行

【ナラハQ&Aコーナー】配偶者の借金

Q 

夫には多額の借金があるようですが、詳しいことを教えてくれません。離婚した場合、私は夫の借金を支払わなくてすみますか。

 

A 

もともと夫が借りた借金は夫が債務者ですので、妻には法律上、支払い義務はありません。
したがって、離婚しなくても夫の借金を妻が支払う必要はありません。もっとも、多額の借金のある夫と婚姻生活を継続するかどうかは別の問題です。ご心配なことがあれば、弁護士にご相談されることをお勧めします。

回答:弁護士 林揚子
■ コラム ■

~ビート板スイミング、おすすめです~

 昨年から、プールに通うようになりました。健康のためです。

 いわゆるスポーツジムではなく、子どもたちが習い事で通うようなプールです。夜間コースには、実に様々な 方が来られています。プールは「ウォーキング」「初級」「25m」「50m」などとコース分けされており、各自自由に利用目的にしたがって、楽しんでいます。多いのは、ベテランの方です。年齢がベテランの方、泳ぎに年季が入っている方が大半かなと思います。他には、高校生? 大学生? という若者もいます。学校で泳いだ後にもうひと泳ぎ、ということでしょうか。有り余る体力に、圧倒されています。

 さて、私は、35歳、バリバリの社会人です。周囲は、ベテランの方に、若い学生。お気づきかもしれませんが、私は、浮いています。「プールだけに」とは言いたくなかったのですが、言ってしまいました。。。浮いているついでに、泳ぎ方も他とは違う切り口です。ビート板を多用します。ビート板のほうが身体に負荷がかかる気がしており、健康増進(体重減少)に効果的だと信じています。呼吸に心配なし、絶対沈まないという安心感もあります。

 ビート板スイミングで、健康に! マイボールならぬマイビート板を購入する日も近いかもしれません。

執筆:弁護士 市ノ木山朋矩

「会社と相続ニュース No.19(2023年8月号)」を掲載しました。


 

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「同一労働同一賃金」に関する労働基準監督署と労働局の連携で何が変わる?(会社と相続ニュース No.19 2023年8月号)

 

「同一労働同一賃金」に関する労働基準監督署と労働局の連携で何が変わる?

1 「同一労働同一賃金」とは?

 「同一労働同一賃金」とは、同一企業内のいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)との間の不合理な待遇差を解消するための制度をいいます。

 同一企業内の正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇差を解消することにより、いずれの雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、その結果、多様な働き方を選択できるようにするものです。

 この制度ができたのは、働き方改革の一環として、いわゆる短時間労働者法が「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」に改正されたことによります。

2 行政の動き

 厚生労働省では、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の均衡のとれた待遇を確保するため、同一労働同一賃金の徹底を図ることを行政施策としています。

 具体的には、①労働基準監督官と都道府県労働局(以下「労働局」といいます。)の雇用環境・均等部に配置される指導員を増員するとともに、②労働基準監督署(以下「監督署」といいます。)と労働局の連携を強化し、同一労働同一賃金の履行状況の確認を実施する作業が本年3月から本格的に行われています。

3 監督署と労働局の連携の仕組み

 監督署において同一労働同一賃金の履行確保に必要な事実関係の確認を行い、結果が労働局に情報として提供されます。そして、労働局において、法令に基づく報告徴収や働き方改革推進支援センターを活用した支援の要否等が判断されます。

 不合理な待遇差等が疑われる場合、企業に対して報告徴収等を行って、同一労働同一賃金規制の履行状況を確認し、問題があれば助言・指導等を行い、改善を図っていくことになります。

4 実務への影響

 企業が監督署による事実確認に応じない場合、不合理な待遇差がある疑いがあると労働局に情報提供される可能性があります。

 企業においては、今後監督署や労働局から同一労働同一賃金規制の履行状況について確認されることを前提に、不合理と判断される可能性がある待遇差を洗い出し、待遇差の合理的な理由を説明できるようにしておく必要があります。

執筆:弁護士 林揚子

【ナラハQ&Aコーナー】退職金の財産分与

Q 

夫は、2~3年後に定年退職する予定です。私は夫と離婚したいと思っているのですが、財産分与を請求するに当たり、退職前と退職後と、どちらの方が良いでしょうか。

 

A 

離婚した場合、一方が相手方に対して財産の分与を請求する権利、財産分与請求権があります。財産分与の計算では、退職前の場合、同居期間中の退職金見込額を基準にすることが多いでしょう。退職後であれば別居時に存在する額ということになります。どちらが良いかは、ケースバイケースとなります。
詳しくは弁護士にご相談ください。

回答:弁護士 市ノ木山朋矩
■ コラム ■

~休みの日のすごし方~

 仕事が休みの日、どのようにすごされていますでしょうか。藤木は、予定がないと、昼からビール、映画を観ながら昼寝、というのがゴールデン・パターン。うーん、イケてません。なんとかしよう。

 去年の秋から、コントラバスのレッスンに通いだしました。大学で始めたコントラバス。実のところ、レッスンは初めの数年間通ったキリ。社会人になってからは、「忙しい」を言い訳に、レッスンをサボっていました。

 大学の後輩が声をかけてくれました。「レッスンの見学に来ませんか」。藤木の直観が幸運を告げています。後輩のレッスンについていきました。先生は、元大阪フィルハーモニー交響楽団のコントラバス奏者。テレビで、コンサート会場で、見たことある! 目の前でプロが弾くコントラバスの、なんと迫力のあることか。「本物や!」迷うことなく、藤木もレッスンを受けることにしました。

 以来、休みの日のすごし方が、少しかわりました。「昼からビール」の前に、コントラバスの練習をするようになりました。・・・ん? あまり、かわってない・・・?

執筆:弁護士 藤木秀行

令和5(2023)年夏季休業日について


 

 弊事務所の令和5(2023)年夏季休業日は,8月11日(金・祝)~8月20日(日)です。令和5(2023)年8月21日(月)から,通常業務となります。
 また,上記期間中に,メールにてお問い合わせいただいた場合も,弊事務所からのご連絡は,8月21日(月) 以降,順次となりますので,予めご了承ください。


「会社と相続ニュース No.18(2023年7月号)」を掲載しました。


 

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