Q&A 未払残業代と源泉所得税等の控除


 

Q 当社は,従業員から過去2年分の残業代の請求を受けました。今後,精査したうえで,金額の交渉をするのですが,所得税や社会保険料は,どのように取り扱えばよいのでしょうか。

A おおまかな考え方として,「給与」として支払う場合は,源泉所得税や社会保険料の控除が必要となります。従業員が残業代を計算して請求してきた事案であれば,その支払は,やはり「給与」であって,源泉の処理が必要になるのが原則だと思われます。

 もっとも,従業員に支払うのが「実質的な損害賠償」(名目は解決金や和解金)であれば,その処理は必要ではない,ということになりますが,この扱いは,残業代請求が主たる争点ではなく,他に大きな争点がある場合(従業員の地位の確認など)に用いられていると思います。

 具体的にどのような経理処理をするのかは,ケース・バイ・ケースになります。そのため,交渉に入るのに先立って,貴社の税理士の先生や社会保険労務士の先生と相談され,控除の要否とその金額の見込みについて,予測をお立てになることをお勧めします。弁護士に交渉を依頼される場合であっても,税理士,社会保険労務士との連携が有効な事案であると思います。



Q&A 退職届の撤回


 

Q 昨日、当社の従業員が「退職届」を提出しましたが、今日になって、「「退職届」を撤回して、このまま会社に居たい」と言い始めました。この場合、退職届は無効になるのでしょうか。実は、この従業員は、職場での金銭トラブルや無断欠勤などがあり、当社としては自分から退職届を出してくれて、少しほっとしていた、という事情があります。

A 非常に微妙なケースだと思われます。結論から申し上げますと、会社が「退職届」を「承諾した(受理した)」という事実が立証できるか否かにかかっていると考えます。
「退職届」の法的性質は、一般的には、「合意退職の申込」と解釈されており、会社の「承諾前」は撤回でき、「承諾後」は撤回できません。
その「承諾」があったか否かは、例えば、「退職届の受理証明書」を発行していれば明らかですが、発行していない場合は、その際の客観的な具体的事情(会社側の担当者の発言等)から、立証できるか否かにかかっています。非常に重要な局面ですし、微妙なケースだと思われますので、詳しくはご相談ください。


Q&A 休もうとしない従業員への休職


 

Q 当社の従業員で、日頃の言動からメンタルヘルス不調の可能性がある者がおります。理由もなく深夜職場に居続けたり、シフト日でないのに職場に来たりして、全く休もうとせず、心配しております。先日、直属の上司から、受診と有給消化を打診しましたが、全く聞こうとしません。会社としては多少無理にでも、休むように説得しようと考えていますが、法律的にはどのような流れになることが予想されるでしょうか。
A まずは、本格的に面談を設定して、心療内科などの受診と休養について話し合うことをお勧めします。話し合いが付かない場合は、会社としては、安全配慮義務がありますので、「業務命令として受診」の命じ、また、状況次第では、労務提供を拒否し、「休職命令」を出すことを検討することになると思います。休職命令を検討される場合は、「就業規則」の休職規定に沿って行うことになりますので、「就業規則」の規定をご確認ください。このようなケースは、心身の安全を最優先して毅然とした対応を取る中にも、従業員さんの意思を尊重する姿勢も大切だと考えます。詳しくはご相談ください。


感謝の会を開催いたしました。


 

平成30年12月2日、当生駒事務所が創立10周年の節目を迎えたことから、日頃のご愛顧に感謝し、顧問先企業様をはじめ、お世話になっている方々をお招きして、「感謝の会」を開催させていただきました。

当事務所一同、より一層励む所存にございますので、新たな10年を歩み始めました当事務所を、今後とも宜しくお願い申し上げます。

 

 


Q&A 福祉サービスの利用者のご遺族からの開示請求


 

Q 当社は福祉事業所ですが、利用者のご遺族の一人から、利用者の方の生前の利用サービスの情報の開示を求められています。ご本人からの開示請求は今までも例がありましたが、ご遺族の方からの請求は初めてで、しかも、一部の相続人の方だけに開示すると、当社もトラブルに巻き込まれないかと懸念しています。
どのように対応すればよいでしょうか。

A 最も参考になるガイドラインは、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」(厚生労働省)だと思われます。このガイドラインによると、遺族への情報提供も、原則として、本人からの請求と同じように取り扱うよう求めています。もっとも、本人の生前の意思、名誉等を十分に尊重すること、診療録の開示を求められるのは、患者の配偶者・子・父母及びこれに準ずる者とするなど、開示の範囲・方法等については慎重な検討が必要です。
また、ご指摘のように、トラブルに巻き込まれないという観点からは、一部の遺族からの開示請求があった場合に、そのまま応じることがよいのか、他の遺族の方々の意思を確認する機会をもったほうがよいのかの判断は、ケース・バイ・ケースになると思われます。詳しくは、弁護士等にご相談ください。


Q&A 判断能力が疑わしい利用者さんとの契約

 

Q 高齢者向けの福祉サービス契約の締結にあたって、利用者となる方の判断能力がはっきりとしない場合、ご家族に代筆してもらう方法を従来していました。しかし、先般、福祉サービスに関し、ご親族からクレームを受けることがあり、その中で、そもそも契約したこと自体がおかしいと指摘を受けました。当初代筆していただいたご家族は、現在は別居しておられ、今回クレームをおっしゃったのは、代筆した方とは別の方です。この出来事から、代筆はリスクが高いことを痛感しました。
今後は、どのようにしていけばよいでしょうか。

A ご本人の判断能力が疑わしい場合は、成年後見人が付いた後に、契約するのが原則となります。ご家族が、判断能力はあると主張され、成年後見制度は必要ないとおっしゃる場合には、主治医の診断書で、判断能力があることを確認し、記録に残すことが大切です。
なお、代筆が有効となりうるのは、ご本人の判断能力がはっきりしているものの、字を書くことができない場合です。このように場合であっても、適正な契約方法であることを説明できるように、その状況を詳しく記録に残すことをお勧めします。


Q&A セット販売と「景品」


 

Q 当社はビジネスパーソン用の衣料品を販売しています。ウォーム・ビズの時期に向けて,キャンペーンのため,下記の3つの方法を検討しています。これらは,景品表示法の規制を受けるのでしょうか。
 ①カーディガンとマフラーをセットにして販売し,全体の代金として値引きする。
 ②カーディガンを買うと,マフラーをプレゼントする。
 ③カーディガンを1つ買うと,色違いのカーディガンを1つプレゼントする。
A 「景品」とは,顧客を誘引する手段として,事業者が自己の提供する商品又は役務に付随して相手方に提供する経済上の利益のことをいいます。
 ①のように,セットで販売する場合は,セットで1つの商品と考えることができ,「取引に付随」する取引とはなりませんので,「景品」にはあたらず,規制対象とはなりません。
 ②のように,マフラーが無償でプレゼントされるのであれば,マフラーは,カーディガンの「取引に付随」して提供されるものと評価され,「景品」に該当すると考えます。総付景品として,景品の最高額の規制もあります。
 ③の場合は,具体的な商品の性質や広告文言により,結論が異なると考えられます。消費者から見て,「カーディガンを2つ買うと,それぞれ半額になる」という意味に認識する場合は,それは,いわゆる「増量値引き」であり,景品規制の対象にはなりません。これに対し,そのように一般消費者が認識せず,②のようなプレゼントと同じような景品だと認識される場合は,景品として規制の対象となると考えます。


Q&A 原産国の表示


 

Q 当社は紳士用の衣料品を輸入し,日本国内で一般消費者に販売しています。ある商品につき,商社からは,A国製であることが記載された書類を受け取っており,当社でも「made in A」というタグを付けて販売していました。
 しかし,その後,その商社の書類は間違っており,真実は,B国製であることが分かりました。
 原産国の表示は,不当表示の問題になりますか。また,今回は当社が故意にしたわけではないのですが,不当表示の責任があるのでしょうか。
A 原産国の表示は,消費者が品質を判断するうえで,一つの指標となりますので,「優良誤認表示」の問題となります。たしかに,今回は,貴社が故意に,真実ではない表示をしたわけではない,とのことです。
 しかしながら,景品表示法は一般消費者を保護する法律であり,結果として,消費者が誤認することになる表示は,規制対象となります。そのため,御社は,故意がなくとも,不当表示について責任を負うことになります。具体的な対応等については,弁護士にご相談ください。


Q&A 比較広告の留意点


 

Q 当社製品について,新しい広告を検討しています。具体的には,競合他社の製品よりも,機能性が高いという長所を強調する,いわゆる「比較広告」を考えています。もっとも,この当社製品は,使用上の容易性や耐久性の点では,競合他社の製品よりも,やや劣っており,この点は,短所ではあります。
 このような製品について,「比較広告」をする場合,長所である機能性のみを比較しても,問題はないでしょうか。基準などがあれば教えてください。
A 比較広告については,公正取引委員会のガイドラインがあります。
適正な広告というためには,次の3つの要件を満たす必要があります。それは,①主張する内容が客観的に実証されていること,②実証されている数値や事実を正確かつ適切に引用すること,③比較の方法が公正であること,という要件です。
 上記の①と②の要件は厳守するとして,短所に言及せず長所のみを比較する広告であっても,直ちに上記③の要件の「公正」でない,とはいえないと思われます。
 もっとも,言及しない短所の内容や性格によっては,「商品全体の機能・効用」について,消費者に誤認を与える可能性が出てきます。例えば,長所と一体の関係にある短所について,短所に全く言及しない場合は,その長所自体について誤解が生じることになりえます。
 不当表示となった場合には,行政庁からの法的措置を受ける可能性があるだけでなく,消費者からの信頼を失うなどリスクが非常に大きいですので,慎重に検討されることをお勧めします。詳しくは,ご相談ください。


Q&A 労働局の「あっせん」手続き


 

Q 退職した従業員から,パワハラや不当解雇だと主張する内容証明郵便が届いていましたが,先日,労働局の「あっせん」手続きを申し立てられました。その従業員はミスも多く,職場の人間関係も難しく,退職時もケンカ別れのような様相で,退職届もないまま出社しなくなったという経緯があります。
 あっせんの手続きには,出席したほうが良いでしょうか。
A 制度としては,あっせんの手続きに参加する義務はありません。実際,全くの言いがかりであることが明らかなケースでは参加しない選択をするほうが一般的だと思われます。もっとも,本件については,参加して相手方の話を聞いてみるのも選択肢だと思います。早期解決の可能性もありますし,決裂した場合であっても相手方の主張内容を現時点で把握できることは有益だと思われます。
参加するかどうかの判断は大切ですので,詳しくは弁護士等にご相談ください。


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