前触れもなく届くことが多いのが、「団体交渉申入書」です。何かの間違いではないか、と思うほど、突然に届きます。従業員の名前が差出人の欄にあり、「組合員」や「支部長」といった肩書がついています。
放置することはできるのでしょうか? それではできません。団体交渉に対して、会社は誠実に応じる義務があります。
それでは、「団体交渉申入書」に書いてあるまま、日時・場所で交渉し、要望に応じなければならないのでしょうか? そんなこともありません。
会社側の姿勢としては、「団体交渉には冷静に応じる。ただし、会社側の言い分もしっかり言う。主導権を取られない」という姿勢が大切です。初動対応のポイントをご説明します。
最初にチェックしたいのは、具体的な要求の内容です。「議題」の欄に「残業代請求」や「組合員〇〇氏の不当解雇の件」と書かれてあれば、その要求が真の狙いです。
その組合の上部団体が申入書に書かれています。その名前を、ネットで検索してみてください。活動内容などから、交渉スタイルが分かります。
会社側が最初に準備する事項は、次の3つです。
近隣の貸し会議室、公民館、商工会議所、弁護士会館など中立的な施設を使用することをお勧めします。その理由は、会社の業務に支障を与えないことと、団体交渉がエンドレスになるのを防ぐためです。団体交渉は長時間になることがほとんどで、会社側としては、「時間が来たので、今日は終わりにする」という切り上げ方があるようにしておくことは大切です。
業務外の時間で、担当者が出席できる日程を、3つほど、労働組合に提示します。労働組合が指定してきた日程に、無理にあわせる必要はありません。
日程の候補日、場所、連絡方法を記載した「回答書」を、労働組合に送付します。この段階では弁護士に相談されることをお勧めします。
労働組合の要望を踏まえ、経営トップのレベルで、妥協しえる点と妥協できない点について、おおまかな方針を立てることが大切です。基本方針が決定していることによって、交渉担当者が現場で冷静な判断をしやすくなります。
当日の役割分担、たとえば、誰がメインスピーカーで、誰が第一助手になるのかを決めてください。特に、労働組合側の不適切発言があった場合への対応策、切り上げ方については、練習をしてください。会場の下見や、録音、議事録の取り方の確認も大切です。
弁護士に依頼すると、次のような活動を行います。事業への影響を最小限に抑えながら、専門的で適正な対応が可能となります。
団体交渉は複数回、長い場合は数か月以上続くこともあります。弁護士を連絡窓口としつつ、随時アドバイスを受けることは、会社側の対応の負担を最低限に減らし、有利な解決に結びつきます。
現従業員が労働組合に加入したとして、団体交渉の申入れがありました。申入書の議題には、残業代の請求について、記載がありました。残業代については支払義務があることが明らかな事案でした。
弁護士に依頼があり、基本方針を決定したうえ、場所・方法などを回答し、第1回団体交渉に備えました。資料を精査しましたが、残業代については支払義務があるものの、労働者側の主張にはやや誇張があり、その結果金額がかなり上乗せされていることが判りました。
第1回団体交渉の当日は、弁護士がメインスピーカーをつとめ、当方の見解と今後の検討方法について説明しました。団体交渉は3回続きましたが、その期間、弁護士が連絡窓口となりました。最終的に、和解案に合意が成立し、「協定書」を作成して解決しました。
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